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第二の故郷:Wiyos

at 2004 08/01 22:48

◆夏の合併号の入稿も終わり、あと一週間で夏休みだ。今年の夏休みは嫁の実家で過ごすことになるのだが、つまり東京に戻ることになる。

◆久しぶりの新宿、久しぶりの渋谷、そして久しぶりの神保町。といっても今年になってすでに5回目なので別に懐かしいわけではない。

◆ボクの14年間の首都圏生活の8割は中央線だった。そしてほぼ9年は武蔵野市民だった。しかし名古屋に来て以来ほぼ毎月上京していたわけだが、武蔵野に足を運ぶことはなかった。ビジネスでも私用でも用事がないのだ。短い滞在で色々こなすわけなのでわざわざ行く場所でもない。そう考えると2年間のブランクで街がどのように変わっているのかはかなり興味深い。

◆中央線の高架問題を含めかなり町並みが変わっているのだろうと推察される、でもボクが暮らした境南町はあまり変わっていないのだろう。あぁ懐かしい

◆しかし今回も武蔵野には足を運ばないであろう。たぶん、また都民になるまであの地を見ることはあるまい。なぜか分からないが、僕にとって武蔵野は住むところではあっても行くところではない。

◆レビューでも取り上げたWiyosの古ぼけたくせに新しいサウンドは妙に武蔵野に相応しい気がする。気障に決めているくせに妙に金のない音作り、都会っぽくしようとしているのに、田舎の臭いがする歌唱力、レトロというよりは古臭い。

◆でも今風そんな音が詰まっているデビューアルバムPorcupineを聴きながら、ゲーセンの脇を曲がって梨園を通りすぎ、ミニストップがつぶれたままのマンションを曲がれば、ボクの9年間の街がある。セブンイレブンの跡地には何か入ったのだろうか?




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ABC By Yo-Han?:Creighton Lindsay

at 2004 08/05 22:21

◆倒産した青山ブックセンターの支援に洋販が乗り出したらしい。日本の書籍流通にとっては数多ある小チェーンの1つかもしれないが、その美術書や洋書の販売力、宣伝力は洋販を担ぎ出すまでだったということか。

◆多くの人が書店やレコ屋不要論を唱えている。通販で何でもそろえられて、店頭在庫を小ロットで抑えることの出来るWeb通販は確かに魅力的な販売媒体である。

◆しかしWebには徹底的で完全な欠点がある。それはユーザーサイドが働きかけないと新しい出会いはありえないということだ。

◆店頭の平積みで思わずジャケ買いしたり、忘れていた作家の古い本が棚で目にとまり、思わずめくってみたり、暇つぶしに平台を眺めていて、新しい雑誌に出会ったり・・・これらはWebではありえない。Webはいつも能動的であり、検索をかけなければ決して知らないものと出会うことはない。たとえメルマガであっても、聞いた事のない作家名は読み飛ばすでしょう、よほどの探究心でもなければ、決してその人の新刊紹介のリンクをクリックすることはない。

◆書店やレコ屋に入れば一度に多くの情報が流れ込んでくる。人間の視界は大体150度くらいかな、視界に入るものはなんでも興味の対象にはなりえる。しかしWebは15インチなら15インチの情報量しかない。どれだけ詰め込んでもかえってごちゃごちゃするだけで150度にはなりえない。その辺は民放地上波とペイパービューほどの違いがある。Webは無限に選択の余地を広げたが、それは選択したい範囲をフル活用する機能であって、選択肢に入れることを思い浮かばない範囲のものについては全くの無力だ。

◆新聞で山形浩生氏が、現在百貨店は展示会の機能でしかなくなりつつあると書いていた。つまりブラブラ見てまわるためのものであり、決して購買するための場所ではないということだろう。書店もレコ屋もそうかもしれない。出会うのは店頭、買うのはWeb通販。ボクもそうしてるかもしれない。

◆でもその出会う場を失ったらたぶん人は新しい出会いに相当苦労するようになるだろう。そのために展示会であっても、維持できるようにある程度のお金は落とさねばなるまい。しかし身銭を切ってまで維持させるなら、目利きのいい博物館員がいなくては意味があるまい。

◆2000年に発売されたCreighton Lindsayの81年から98年の録音を集めたSCRAPBOOKは実に心地いいSSWだ。ロックやブルーズ、フォークを彼なりのアーシーなアコースティクサウンドで包んで、アメリカらしいホーボーミュージックを作り上げている。80年代以降の音というのが信じられないくらいだ。地味ながらも実に丁寧な音作りをしている。Ry CooderやPaul GeremiaやMuldaurやそういう系統が好きな人にはたまらない音だろう。

◆そして、歌もいいが、クレイトンの乾いたアコギの音色が実に繊細だが力強くて身体に染みいってくる。こんな良い音を紹介してくれないAmazonもBarn&NoblesもCD Babyもどんな仕事をしているのやらという気分だ。

◆これは確かあるレコ屋の店員さんがWebで推薦していたものだった。何でも安価でそろう大手Webショップに対抗するにはやはり店員の目利きだろう。そしてその目利きに対する信頼度だ。

◆信頼のできる店のラインナップなら聞いた事のないアーティストでも試聴や立ち読みをしてようという気になるかもしれない。目利きのない店では価格と品揃えに強い大型店やWebショップと張り合うことは出来まい。




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新たな波:G.Love

at 2004 08/29 17:24

◆しばしばキャリアも個性もあるアーティストが若い世代に感化され、その波に取り込まれてしまうことがある。

◆古い話だが、たとえばシュガーポップ職人として、夢見る乙女たちにシュガーコーティングされた愛や夢をばら撒いていた伊藤銀次は、佐野元春というシティロッカーに出会い、そのプロデュースやバックバンドをすることで佐野のような音作りになっていった。そして彼らしい甘さや優しさと佐野っぽいラップのような唄い口やダンサブルなビートに乖離が生まれ、銀ちゃんはメインストリームから徐々に後退して行くことになる。

◆ミステリ作家大沢在昌は若き気鋭の妖怪作家京極夏彦にほれ込み、自分の事務所に誘い込むことによって、宮部みゆきとともに、大極宮などというプロジェクトを作りあげ、「ミステリ=変異」という捉え方で新たなアプローチをしている。でも大沢氏とおどろおどろしさはイマイチにあわない。

G.Loveの6作目、HustleをHMVのレビューは以下のように語る「2004年の夏のサウンドトラックは、Slightly StoopidとDonavon Frankenreiter、そしてG.Loveで決まり!!」。

◆ハワイ在住のサーファーで映像作家であるJack JohnsonのレーベルBrushfire Recordsに移籍しての第一弾は以前の彼から考えると多少、飛び跳ねている感じがする。もちろんSpecial Sauceがバックでいつもどおりの完成度を見せてくれている。でも、渋みが足りない、その分ドライブ感は上がっている。僕のような室内で楽しむ人にはちょっと物足りない。その感想がそのままHMVの呼び込みと相応するように夏の海に出かけるような作品に近いところへ重点を置いての作りなのかもしれない。

◆たしかにG.LoveはJJを深く気に入っているようだし、コラボも盛んだ。そしてJJをバックに参加させ、JJのレーベルでアルバムを出すことを考えると、若きJJを応援しているというよりは、JJの軍門に下ったような気配さえする。HIPHOP世代の感覚でアーシーな大陸のブルーズやフォークを甦らせてきたG.Loveがオルタナ世代の言語でハワイの海を謳うJack Johnsonの影響下に入ってしまったのだろうか? 

◆ロックという新しい音に感化されたことで自前の個性を失ってしまった銀ちゃん、G.Loveにはどっちつかずのあいまいな状態にならないでくれればいいなぁと思う。メンフィスへの愛を唄うキミはとてもイカシてたから。

◆夏の終わりに発表された問題作。みなさんはどうとらえるのでしょうか?公式HPはbrushfirerecords.com



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今月のオトシャベリへ、●アーティストリスト


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