<<前月
2004年07月
次月>>
魚釣り:Big Trout Radio

at 2004 07/03 01:54

◆ボクの最も苦手なものはたぶん魚です。

おかしいでしょ?魚だめなんです、触るのも見るのも。活き造りなんてもってのほかです、ピクピクって動いたりしたらもう真っ青でフリーズ、とにかくダメなんです。金魚や熱帯魚を飼っている家には絶対行きません。

でもそんなボクが一度だけ魚釣りに行きました。友人同士の旅行の途中で、釣りをしようということになり・・・・・・はい、後ろで見ていましたよ、釣れないようにと山と魚の神に祈りながら。

でもそういうときには釣れちゃうもんですよねぇ、「お前にもやるよ」と手づかみで渡されそうになった時は、後づさりしながら、固まった笑顔で「有難いけど、女房が捌けないから、今回はやめとくよ」と・・・・・・声が震えていたようで。

でも釣りって妙な魅力ありますよね。イメージとしてはスナフキンのような飄々とした世捨て人? そんなの憧れます。日なが一日、糸たれて、世事からはなれてわが道を行く。現世欲の塊のような五條にはとてもできることではありません。だからちょいあこがれちゃいます。

そんな魚釣りの歌だけを集めたアルバムがこのBig Trout Radio。SSWの巨匠Artie Traum、Chris Shaw、Tom Aksternsの3人がある物語を作り、その物語にあわせた曲を14曲入れている。その物語とは・・・・・・長いのでディストリビュートしているスライス・オブ・ライフさんよりコピペ。

「たった10ワットの出力しかない山奥のラジオ局、ビッグ・トラウト・レイディオ(でかいニジマス・ラジオ)は、何と魚釣りに関する曲しか放送しない。それもその筈、変人のオーナー、カールトン・マンスン曰く『ワシの関心事は2つしかない。グッド・フィッシングとグッド・ミュージックじゃ。だから、ワシのラジオ局ではフィッシングの曲しかかけんのじゃよ』」なんてアーティ達が楽しくもデッチあげた架空の話をもとに、「そのラジオ局でオンエアされている歌の数々を収めたアルバムがコレなんだ」

ということで、ちょっぴり可笑しく雰囲気のあるアコースティックサウンド14曲詰め込まれました。

このアルバム自体が世捨て人というか、飄々としていて大人の遊びだなぁと感じさせます。トラディショナルフォークの名人たちが集まって酒を片手にあーだこーだとでっち上げる様が眼に見えるよう。こんな粋なオヤジになりたいものです。

でも魚はいや! 顔も鱗も鰭も鰓もみんなイヤー。寿司は好きだけどね(←ダメ人間の見本のようなコメントだわ)

Big Trout Radioの公式HPは→bigtroutradio.com




■試聴・購入はロゴをクリックしてね。


違いの分からない男:Wardell Quezergue

at 2004 07/03 01:55

◆先日メールでいろいろな方にぶしつけなアンケートをした。僕のHPをどう見ているかという内容だったが、くだらない個人的なメールなのに多くの方が返答してくれた。ありがたいことである。

◆その中でよくわかったことが2つ、タラタラ書きなぐったオトシャベリを多くの方が読んでくれていること、逆に一生懸命データを集め、推敲を重ねたレビューはあまり読んでくれていないこと。そして、オトシャベリとオススメの違いがわかりにくいということだ。

◆実は作業工程ではかなりわかりやすい違いなのだ。レビューはそのアルバムのことを書くために音楽を聴き、オトシャベリは音楽を聴きながら、思いついたことを書いている。つまりオトシャベリは音について語る必要がなく、レビューページはデータ紹介と感想に凝縮している。

◆そういう過程なので、自ずと出来上がったものも違うはずだ。オトシャベリはその音を知っている人に共感してもらえたら目的達成であり、レビューはまだ知らない人がその音を聞きたくなったら達成だ。さて、この効果は出ているのだろうか? 答えはNOだろうなぁ、それはリンクしているアマゾンアソシエイトの購買数でもわかる。

◆ではシンプルに1つのコーナーにするか? 新規はそれでもいいが、過去原稿はそうは行かない。いまさら100以上あるレビューを日記形式に書き換えるのは愚の骨頂だ。ならレビューだけにするか? 人気コーナーをつぶして不人気コーナーに統一するのもNGだろう。世の中難しいものだ。このまま放置か?

◆こんな行ったり来たりをこの数日続けている。無意味な労力だ。こんな時は解放的な音楽でも聴いて思考を停めてしまった方がイイ。ということでWardell Quezergueだ。近頃新しいコンピが出て話題になっているが未購入なので2000年のSlammin' Big Band名義をCDプレーヤーに乗せてみる。

◆ホーンが刺激的なラテンリズムに続いてキャバレーのお題目のような2曲目、場末のショウタイムのようだ。何故だろう、ボクが所有するビッグバンドはみな妖しさが音の中にある。もしかして僕も妖しいのだろうか?(怪しいの方かも) でもビッグバンドってちょっと安っぽくってちょっと妖しいほうがいい。紳士淑女のダンスタイムより、酔っ払いのチークタイムの方が刺激的な何かが生まれる可能性を持っているから。

◆刺激的な何か、それをボクが生み出せるのかどうかはあえて考えないで、今夜はこの音を楽しもう。楽しくてゴージャスでスィンギンで、でもちょっぴり日陰の色を感じてしまう前世紀最後のビッグバンドの封印(パッケージ)を。



■試聴・購入はロゴをクリックしてね。


レコ探し:Paul Simon

at 2004 07/04 03:31

◆地方で暮らすようになると、情報を追いかけるようになるね。

◆東京にいると書店もレコ屋も会社帰りにちょいと寄れた(特に御茶ノ水ユニオンの隣ビル勤務時)から何がいつ発売かなんて気にもしなかった。出逢った時に出逢ったものを買う。WYSIWYG(WhatYouSeeIsWhatYouGet)だ。しかし、地方にいるとレコ屋も本屋もわざわざ立ち寄らないと(そして注文しないと)手に入らないから、必然的にメディアの情報が頼りになる。

◆7月中旬にHeronの1stと2ndが再発される。イギリスの70年代のフォーク系バンド、なかなかプレス枚数も少ないだろう。レーベルはアルカンジェロ、どこだ? 調べてみるとディスクユニオンの子会社ではないか、レコ屋の子会社からの配給、色々からみがありそうだ。失敗すると大手レコ屋では扱わない可能性があるぞ

◆ネットで調べてみる。アマゾンもタワレコもHITしない。HMVだけは1stのみHITした。なんかやばい感じ。レーベルに電話してみる。名古屋で入手可能な店舗を聞いてみる。一応タワレコでは扱うそうだが、それ以外はレーベル元では不明とのこと。地元の信頼できる輸入盤屋へ電話、問い合わせ後5分くらい待たされて、各2枚オーダーしてあることを確認。そのまま予約した。

◆「予約」だ、CDの予約なんて何年ぶりだろ。こんなに情熱的に1枚の(2枚だけど)CDの入手に奔走したのも何年ぶりだろ。人は手がかかれば、それだけ想いも強くなる。あと半月待つ、待たされれば想いも強くなる。地方在住の個人HPが必然的に積年の気持ちをこめまくるようになってしまう気持ちがなんとなくわかった。

◆中学の頃、名古屋は千種のBig Orangeというレコ屋に通っていた。当時その店はコンサートの会場販売を行っており、そのせいか業界に顔が広いようだった。だから見つからないレコがあると頻繁にそこの店員さんに相談をしていた。

Paul SimonPaul Simon Song Bookもそんな一枚だ。S&Gでのデビュー前、失意のうちにロンドンで1人で録音したアルバム、Sound Of SilenceやI Am A Rock、教会は燃えているなどのS&Gの名曲がアコギ弾き語りの荒削りな姿で聞ける。「この曲はS&Gでも同じだなぁ」とか「これはアートが加わったからこそ名曲になったのか」、逆に「ポールだけのVerの方がいいねえ」などとアーダコーダ考えながら聴くアルバムだね。

◆当時このコレは廃盤だった。しかしBig Orangeの店員さんは別のお店の店頭在庫から見つけ、交渉して引き上げてくれたらしい。彼は今何をしているのだろうか? 久しぶりに会ってみたいものだ。

Gris Grisのコウダさんがお店をやめるらしい。HPも閉鎖だという。彼のキャラや紹介文を気に入って購入した盤も多い。親切で目利きのいい店員さんだっただけに残念だ。




■試聴・購入はロゴをクリックしてね。


真面目にオトシャベリ:Sister Rosetta Tharpe

at 2004 07/12 20:38

◆あ。。。暑い、あまりの暑さに二周年企画も1万ヒット企画も何も出来なかった。

◆思えば2000年9月にはじめた音楽HP、体裁を変え名前を変えアドレスを変え、、、実際は何ヒットなのだろう? 最初から変わらないのがMusic Talkことオトシャベリ。ご好評いただきありがとうございます。

◆自分でもここを読み返し見ると、その時期にどんな音を聴いていたのか・・・・・・ちっともわかりません。日記の内容にあわせて曲を紹介したせいか、ちっともリアルタイムの音楽じゃなかったりします(だめだなーこりゃ)。

もうちょっと真面目にやりましょう! ってことで今のお気に入りをご紹介。

Sister Rosetta Tharpeというゴスペルシンガー、現在彼女へのトリビュートアルバムをキカクページに載せているが、トリビュートが本当に良かったので、本家本元も是非聴いてみようと思い、入手した次第。Maria MuldaurやBonnie Raittがフェイバリットだと公言するアーティストならば間違いはないだろう。

◆どんな人かというと、大きな胸をプルプル震わせながらギターをかき鳴らし、唄声をはりあげる尼さん。堂に入ったぶっとい低音でゴスペルをブルーズやジャズのように唄う肝っ玉母さんだ(シスターだから母さんじゃないけど)。かっこいいね、こういう人って。たぶん当時相当にらまれたんだろうね、女がギターを、そして聖職者がステージでガチャガチャと俗的な音をかき鳴らすんだから。

◆しかし、彼女の音はとても洗練されてもいる。聖職者のブルーズというスキャンダラスな部分さえなければ、当時でもかなりいい評価をされたはずだ。力強いが泥臭くはない。ブルーズ自体のちょっと後ろを向いた部分もない。それはやはり神への信心のなせる業か。

◆また、かなり小粋でもある。ShoutSisterShoutの掛け合いを聴いていると洗練された音を操る人だということもわかる。そしてこのタイトル「叫べ、尼よ、叫ぶんだ」という諧謔、ユーモア精神もたっぷりなのだろう。

◆聴いているのはThe Gospel of The Blues。'38-'48年デッカ音源集 勢いのある弾き語りから、ジャンプっぽい音まで全18曲詰まっています。オススメ!

◆真面目に音についてしゃべったけど、どうかなぁ(笑)。


■試聴・購入はロゴをクリックしてね。


アナタの夢は何ですか?:Raffi

at 2004 07/15 22:44

◆学生の頃、多少仲の良かった女の子がいた。

◆彼女は広告のクリエィティヴ志望で、毎日電博がどーの、一企がどーのという話題をボクに投げかけていた。当時ボクは文学志望で、外国文学の全集や研究書などの編集者になりたかった。彼女はそういう学問ものは売れないといい、ボクは広告なんて魂を売るようなものだとイキがっていた。

◆彼女は結局代理店にはいけず、大手出版社のグラビア系雑誌編集者になった。ボクも出版社で製作マンになり、漫画の編集者になった。

◆今ボクは広告を作る会社にいる。彼女は文学や社会学の研究系の書籍編集をしているらしい。人生ってどこでどうなるか分からない。全く逆になっている、あの頃の二人が今の二人を見たらどう思うんだろう。夢と実際に引かれていく道ってつくづく違うものだ。

◆いまや押しも押されぬキッズミュージックの大家Raffi。SingalableシリーズやBanana Phoneのヒットで彼の歌を知らないで幼少を過ごした新大陸の子供はいないだろうというくらいだ。そんなラフィのキッズミュージック以前の音を聴いた。彼がバイオグラフィからも抹消したアルバムだ。

◆タイトルはGOOD LUCK BOY。きよさんにねだってCDに起こして貰った(ジャケ写も拝借!)のだが、子供好きな彼らしく優しく飾り気のないフォーク/カントリーソングがちりばめられていた。今聴くにはとてもグッドタイミーでいいのだが、たぶん75年当時で考えると、あまりに目立たなさすぎたのでしょう。メインストリームに出るにはちょっと個性が足りなかったのだろうなぁ。

◆しかしこのアルバムを聴いていると、当時のラフィが今のキッズミュージックの王様になった自分を見てどう思うのだろうということを考えてしまう。当時の彼は何を夢見ていたのだろう。どんな自分になりたくて音楽の世界に飛び込んだのだろう、そんなことを考えてしまう。

◆アナタの夢は何ですか? 今のアナタは夢に近づいてますか? そして今の自分にあなたは満足していますか? 夢がかなうことだけが満足ではないと思う。


エンタメの達人:Harry Mayronne

at 2004 07/22 07:54

◆彼の本は「魍魎の匣」から読んでるけど実は大ヒットの京極堂シリーズより、「怪」シリーズの方が好きだ。あの緻密さ、あの博識、あのストーリーテリングの妙技を短編連作という小宇宙で見せているのも好きだし、それ以上に構成のステレオタイプさが時代劇や刑事モノ・探偵モノなどを見るような気分になる。

◆必ず印籠が出る、それが分かっているのに待ちわびる高揚感みたいなものだ。主人公の知らないうちに勝手に事件が解決し、その種明かしが始まる。そして「御行したてまつる」ちりん、という決まり文句。アレだけの大法螺を吹いておいて肩を凝らせないテレビドラマのような構成で楽しませてくれる。そんな彼は一流のエンターテイナーなんだろう。

◆日本のエンターテインメントといえば時代劇や刑事モノのような、全て分かっているんだけど楽しめる。そんなものが好きだ。今の連続ドラマのような一回見逃すとどっかへ行ってしまうハラハラドキドキのものはどうも性に合わないようだ。またアメリカのエンターテインメントだとやはりミュージカル。ボクはどうも虚構が虚構らしくあるモノのほうが好きらしい。

◆ミュージカルといえばニューオリンズのLe Chat Noir劇場ではThe Black And White Blues(The New Orleans Restaurant Musical)が2年目のロングランを迎えているようだ。ニューオリンズの人々の食べ物やレストランへのこだわりを面白おかしくたたえる好作だそうで、とても見てみたいのだが、たぶん、永久に日本には来ないであろう。

Harry Mayronneの演奏する軽快なピアノの響きと重なってくる俳優たちに歌。別にコレといって目新しいものはないんだけど、なんか楽しいミュージカルアルバムだ。

◆さて、京極の新作を紐解くとするか、今度は薔薇十字の話なのかな?・・・・・・



■試聴・購入はロゴをクリックしてね。


細分化:Brinsley Schwarz

at 2004 07/28 22:44

◆セレクト合戦でいつも思うことがある。

◆たとえば前回なら16名の参加者がいた。各々12曲持ち寄るわけだから192曲あるわけで、そのうち互いに知っている/持っている曲は一割あればいいほうである。全員持っている曲なんてあったためしがない。

◆しかし、ボクが選曲する曲はボクにとってとても好きな曲である、他の人もそうだろう。つまりボクは僕の大好きな曲のことを15人仲間がいても一人とも共有できないわけである。

◆世の中に音楽を好きな人は多い。しかし、洋楽を好んで聴いている人は全体でいえばマイノリティーだし、その中でヒットチャートではない洋楽を聴く人はマイノリティーだろう。ちょっと話はそれるが、今回判明したことの中にこのセレクトメンバーの中に「一度でもさだまさしを気にしたことのある」人がかなりいることが分かった。そしてHPを見ると分かるが多くがバラカンやMM誌、レココレ誌などに影響を受けたことがある人が多い。多くは20代後半〜30代前半だ。

◆さて、総括しよう。ヒットチャートではない洋楽が好きで、一度でもさだまさしを気にしたことがあり、バラカンやMM誌、レココレ誌などに影響を受けたことがある20代後半〜30代前半が16人集まったわけだ。かなり限定される。少なくともクラスに1人や会社に1人いるような大きな確率ではない。そこまで人間性や経験や嗜好を限定しても、15人の中でボクと同じ音楽が大好きな人はいないというわけだ。ボクだけではない。多くの参加者が同じだろう。

◆世の中あまりに趣味嗜好が多角的になりすぎていないか? 多品目少量生産ではいくら仕事をしようとちっともレコ会社はもうからないだろ。つまり経済の発展に全然寄与しないのだよ。

◆あまりにアーティストが多すぎて、あまりにレコードが多すぎて、だけどあまりにレコ会社がおおいから、また再発見なんてしちゃって、また新しいコアなファンが生まれちゃって・・・・・・じゃあ自分が今の趣味をやめろといわれても出来ない相談だが、この状態って本当にいいの?って気がする。

◆高校生の頃、洋楽ファンってマイナーな存在で、その中でコステロとかトーキングヘッズとか聴いているボクは最マイナーな存在だった。でも少なくともマイナーな音楽ファンが数人集まればコステロの話は出来た。

◆音楽聴く人全体のパイはこの15年で確実に増えている。しかしそれでは追いつかないくらい小ジャンルが増えている気がする。このままでは音楽業界やショウビジネス自体が旨みのない業界になってしまう気がするのだがどうなんだろう。何が出来るわけでもないのだがとても気になる現実だ。

Brinsley SchwarzはThe Bandが好きで好きでたまらない男たちが5人集まってできたバンドだ。そして同じようにアメリカのアーシーな音にあこがれる多くの若者が街にいたからこそ、彼らはThe Bandへの愛を胸いっぱいに歌い上げることが出来たのだろう。そんな真っ直ぐで高らかな演奏をCruel To Be Kindでは聴くことが出来る。好きだからこそを貫き通した音だから今でも輝いてる。

◆しかし僕らは16人いても、そのうち3人が同じ音(ジャンル)を愛することがないようだ。なんかちょっと寂しい現実を感じた。



■試聴・購入はロゴをクリックしてね。


今月のオトシャベリへ、●アーティストリスト


SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送