<<前月
2004年06月
次月>>
コピー:Linnzi Zaorski

at 2004 06/06 04:54

◆以前KijuさんとCDの貸し借りをしたとき、kijuさんは借りたものが良かったら購入するといっていた。ボクはそのまま焼いて満足してしまう。これってやっぱりアーティストにとってはいけないことなんだろうな。

◆自分のCD棚を見るとかなりCD-Rなものが多い。ほとんど買っているものもあれば、ほとんど焼いているものもある。好きだから買う、あんまり気がないから焼くってわけではない。ジョンミラーなんて大好きなのに最新作以外は全てRだ。めったに聴かないのにストーンズはほとんど買っている。

◆結局自分はCDでもRでも、きちんとジャケがあってCDプレーヤーで聴けるなら気にしないのだろう。Rで安く手に入れ浮いた分のお金を人が持っていない/当然レンタルにもないCDにつぎ込んでいるだけだからレコ業界全体で見れば迷惑はかかっていまい。焼けなくなれば手に入る枚数が減るだけで、決してこれ以上レコ業界にお金をつぎ込めるわけではない。ギリギリまでつぎ込んでいるのだから。

◆問題は「きちんとジャケがあって」だ。だから必ずカラーコピーでジャケを作る。紙ジャケ等で形が合わなければスキャンしてリサイズ、デザイン組みなおしする。解説やクレジット等も必ずすべてコピる(歌詞は除く)。採寸して、慎重にカッターで切る、ペーセメで貼る。そうして遠目から見て本物らしく、また、買った人と同じだけの情報量を持たせる。

◆実はここまでするとコピー代で大体100円、Rが60円くらい(プラケースがないときはケースも買うのでR代が150円くらいになってしまうことも)、レンタルだと400円くらいかかるし、返却の宅配便代だって一枚あたり50円くらいにはなる。おお、ドーナッツ盤一枚分の値段くらいになってるなぁ。そして自分の人件費を時給計算すると、、、、、、バーゲンで輸入盤買うのとかわんないかも(汗。

◆さて、ジャケの妖艶な美人を紹介しよう。Linnzi Zaorski Delta Royaleはニューオリンズのレトロスぺクティヴなバンドだ。Offbeat Magazineによると第9区のもっとも感傷的なトーチソングシンガーだという。40年代、50年代のグッドタイミーなジャズを妖しげにそしてゆったりと唄う彼女はとても魅力的だ。

◆名前からも分かるスラブ系の神秘さとジャズの発祥地NOという微妙なミスマッチがとても上手く働いているのか、妖しげな中にも品のよさが伝わってくる。Lee WileyとBillie Holidayの良さを集めたような感じだ。

◆まだ2枚目のこのアルバムHotsy-Totsy、いつまでもこの一本調子じゃ飽きられそうだけど、当分はこのままでいて欲しい。ところどころに聞こえてくるワォッシュボードまでロマンティックに聞こえてくる。夏の暑い日、窓を開けてみると遠くからこんな音が聞こえてきたらとてもいいだろうな。

◆しかし、しかしだ。せっかくNOから取り寄せたアルバムはジャケも裏ジャケもカラーコピーじゃないか! それもセブンイレブンと同じ、コート系のコピー用紙、そして片面印刷しかできんらしい。まあそこまでは許す、資金の問題がある。でもな、切るのくらいはきちんとやろうぜ、ちゃんと定規で大きさを確かめてから、線どおりに切るんだよ。自分でイラレ使って作ってるのならトンボくらい引けるだろ。折り目もつけようぜ、そうじゃないと変に曲がるだろ。これで19ドル99セント+送料かよ。妖艶な美女は結構無精者らしい。 

公式HPはlinnzizaorski.com



■試聴はロゴをクリックしてね。


マイケルジャクソン:Taj Mahal

at 2004 06/11 23:31

◆レコード商業有史以来白人はいかに黒人を越えるかをテーマにしてきた。つまり黒人音楽をパクってきた。

◆Benny Goodmanしかり、Elvis Presleyしかり、BeatlesもCulture ClubもBeckもみんなみんな黒人の音に近づきたいが近づき得ない部分を個性という名でコーティングし白人音楽文化を創ってきた。そんなことは自明の理なのでここまでにしておく。

◆そこで、Michael Jacksonだ(え?)。どんどん漂白されていくマイケル、彼は白人になりたいのだろう。アレだけの富と名誉(崩れましたが)と才能を手に入れて、残るは被差別人種からの脱却が彼の念願だったのだろう。

◆しかしどれだけ漂白しても、どれだけ整形しても、やはりアングロサクソンの高貴な血(え??)には近づけない。彼が悪戯したとされる少年たちがみな白人の子だというのもその辺りの願望が感じられる。

◆世の中の白人ミュージシャンが黒人ミュージシャンのようになりたがり、その黒人ミュージシャンの頂点に立った男が白人になりたがるというのはなんとも興味深い話した。

Taj Mahalの音を聴いているとどうしても黒人のような気がしない。ともするとBobby Charlesの方が黒いかもしれないと思ってしまう。簡単に言うと黒人らしいグルーヴ感や、粘り、こぶしなんかが確実に欠如している。彼のブルーズを聞いているとシャネルズのように靴墨を塗った白人なのではないかと思えてくる。

Giant Step / De Ole Folks At Homeは69年にリリースされた彼の3枚目だ。2枚の2in1の体裁をとっており、1枚目のGiant StepがWoodstock派っぽいスワンプロック、De Ole Folks At Homeがフォークやオールドタイプのカントリーブルーズの弾き語りだ。

◆あ、この説明自体白人のアルバムのようだね、裏ジャケに写っているのもTajを除けば全員白人だ。そういえば彼のデビューはRy Cooderと組んだバンドだった。彼はもしかしてずっと白人の間で(音楽的に)育ってきたんじゃなかろうか? 白人が聴くようにブルーズやR&Bを聴いて育ってきたのではなかろうか? そういう風にまで思える。

◆近年のTajは本格的にブルーズをやっているようだ。その彼の音にあまり魅力はない。でも、ブルーズを演奏できる肉体を持ちながら、白人の方法論でブルーズを学び、演奏してきたTajがブルーズに行き着けるたのはなんら不思議ではあるまい。他のブルーズマンとはちょっと方法が違って(回り道をして)いただけだ。そしてその回り道部分が彼の個性だったわけだ。

◆黒人の方法論で世界の頂点に立ち、黒人らしい方法で白人になろうとした脱色黒人Michael Jackson。白人の方法論で黒人らしさを見せようとして、最初から持っているものに気付かなかった有色白人Taj Mahalその人生に全く重なるものはないが、対照的な気がしてなんだか面白い。どっちの人生の方が幸せなんだろうか。


■試聴・購入はロゴをクリックしてね。


再評価の意義:DAVE GERSHEN JON GERSHEN

at 2004 06/14 20:20

◆Dan HicksにしろJim KweskinにしろJohn Millerにしろ、当時は泣かず飛ばずでメインストリームから去っていったアーティストが、「再評価」の名の下に注目され第一線にもどってくるのはいいことだ。

◆新人アーティストの育成よりも既存のもののほうが初期投資が安いだの、ユーザーの趣味趣向が広がり現存するアーティストのリリースだけでは追いつかない業界事情だの、誰も買わない版権の叩き買いだの、そういう要素が多分に感じられるが、それでもニーズに合えば良い訳であって、弱小レーベルの生き残り方としては正しい選択である。

◆しかし本当に再発掘に足る名盤なんだろうか?と思わせるものも多い。数合わせのようなものもある。その部分は新譜でも同じことだから趣味趣向の細分化ということで目をつぶらねばなるまい。

◆元BorderlineのDAVE GERSHEN JON GERSHENが新譜を出す気になったのもそういった再評価からであろう。金銭的問題もあるのかもしれないが、自分たちが形にしたものが時代を経て評価されるのは全身に力がみなぎってくる想いだっただろう。もう一度やってみるか、単なる市井の中年の眼に情熱や若さがよみがえる瞬間が思い描かれる。

◆全て自作、全て新録音の11曲、Daveが6曲Jonが5曲、心に染みてくる曲ばかりだ。僕自身はBorderline時代のものよりもこっちの方が断然好きだ。時を経て年齢を重ねての深みがある。カントリーやブルーズ、フォークなどのジャンルを越えてGood Music自体を作っていくそんな懐の深さが感じられる。

◆再評価っていっても大手レコード会社の落ち穂ひろいである。でも拾われた穂の人生が再び大きく揺れ動き、このような名作が出来上がるのであれば、それはそれで素敵なことだろう。おしえてくれたきよさんに感謝。

◆国内で購入希望の方はSlice Of Lifeでディストリビュートしています。なお、同ネットショップのコーナー「プー横丁」ではGershen兄弟からの日本のファンへの手紙が読めます。


時代とのアンマッチ:Nick Drake

at 2004 06/17 23:44

Nick Drakeも発掘系の人だろう。デビューアルバムが4000枚しか売れず、その後2枚リリースするも失意のうちに逝去するという不運の人だ。そういう意味では死の直前ながら再評価の喜びを感じられたALZOは幸運なのかもしれない。

◆Nickの未発表アルバムが先日リリースされた。タイトルはMade To Love Magicで、海賊盤などにも発表されてなかった曲や、Nickの最初の希望を考慮して再アレンジされた部分を新録・オーバーダブした2曲を含む13曲。先行シングルのMagicは本国UKでチャートインされたらしい。30回忌にぴったりのアニヴァーサリーイヴェントとなった。

◆ギター弾き語りのみの曲を中心とした配置の中に新録のストリングスはわりとうまく溶け込んでいるといえる。ただ、真摯さを感じさせる彼の音作りにこの耽美なストリングスが相応しいかどうかといわれるとちょい疑問。美しすぎるストリングスと朴訥なボーカルのコントラストが現在のRufus Weinrighjtのように聞こえてしまう部分もある、だから今風でチャートインしたのかもしれない。逆に不気味に響き渡るコンガを配している#8などの方がNickの歌をダイレクトに伝えるにはいいと思う。

◆重く切々と唄うNickのボーカルには説得力がある。しかし、この音はもし街中で流れてきたとしても、いったい何人の歩行者の歩みを止められるのかといわれるとはなはだ不安だ。それくらい地味な音だ。それが70年前後の喧騒の中で取り上げられずに埋没してしまったのも納得がいく。人々が希望にあふれ、前進するための強い牽引力となるモチベーションを持っている時にはこの訥々とした語りは不要だ。しかし人々が立ち止まり、我に返って往く手を逡巡しているとき、彼の真摯な想いはとても効果的に人々の耳に届くのであろう。この音の中に喜びを見つけられた人は幸福かもしれない。思い悩む自分がたった独りではないことを気付かせてもらえるのだから。

◆音楽という大衆文化はどれだけ優れていようと、時代の人々の心にアンマッチを起こしていては受け入れられない。自分の表現方法と時代、どうしようもないマッチ・アンマッチだ。だから不理解のまま早世したNick Drakeのサウンドは不幸であって、アンマッチの苦悩を経てマッチングタイムを迎えられたアーティストらは幸せだ。


■試聴・購入はロゴをクリックしてね。


今月のオトシャベリへ、●アーティストリスト


SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送