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至福の時:John Miller

at 2004 05/02 00:28

◆こんな音を優しさと言うのじゃないかな? John Millerの2003年の新作Hey Thereのことだ。25年ぶりのソロアルバム、全編フィンガーピッキングのギターの弾き語り。ほとんどスタンダードのカバーってあたりが情報か? そんなことはどうでもいいくらいに優しい音だ。

◆25年前の作品と比べるのも野暮ったいが、若干歌声が後退してギターの音色が中心に聞こえるような配置になっている。高音のピッキングが朝露のようなさわやかな美しさを見せ、その後ろでちょっぴりくぐもり気味に聞こえてくるジョンのボーカルが湿気で曇ったガラスから暖かい室内の灯を見つめるようなそんな風景画になる。

◆一曲のオリジナルを除いて全てカヴァー。どれも何年も奏でなれた曲だと言う。2曲のHoagy Carmichaelのインストゥルメンタルは儚げだが時折、芯の強さを垣間見せる女性のようだ。Bye Bye Blackbirdの親しみやすさ、Hey Thereの体温のような感触、そしてMoon Riverの素朴な美しさはジョンならではだろう。

◆Biding My TimeとHey There、その間にジョンの前には様々な物事や人達が通りすぎていったのだろう。しかし、時の流れに左右される事のない彼の優しい音色は何時の時代にも耳を傾けるものの心や身体をそっと温めてくれる。本当に至福の時だ。

◆ジョンのディスコグラフィーは→




孫には勝てない:Zigaboo Modeliste

at 2004 05/06 23:54

◆宇津井健がバラエティ番組でインタビューに答えていた。

◆宇津井氏といえば、ボクらの世代では「野々村病院物語」の院長のイメージが強い。秩序を重んじつつも、間違ったことには果敢に挑んでいく信頼できる爽やかダンディな大人、そんな役割の人だ。60過ぎてジーンズをさらりと履きこなしてはいるものの、話題はガオレンジャーなどの子供向けのテレビ番組の話ばかり。頬を緩めて目を細め、孫のこと、孫とのこと、孫がしたこと・・・要するに孫バカなのである。

◆「孫が生まれると、生きがいだった一人娘のことがどうでもよくなった」とはある会社の支社長の言葉。娘より孫が大事とはあまりピンとこないが、妻の父母を見ているとそんなものなのねぇと実感する。

◆ZIGABOOことJoseph Modelisteの新譜が突然発売された。Metersのドラマーとして信奉されている彼だが、2001年に満を持した初のソロアルバムZigaboo.Comはドラマーのアルバムの癖に打ち込みが多用されていて、なんやねん?と評判はいまいちだった。

◆しかしその3年後に発表された本作I'm On The Right Trackはちがう。全編をねっとりと絡みつくグルーヴが貫いている。全曲オリジナルで占められたこのアルバム、ゲストにはDr. JohnやP-FUNKのBernie Worrell の名が見える。他にもIvan Neville、David Torkanowskyらキープレイヤーの充実が感じられる。

◆ほとんどの曲で自らヴォーカルをとっているが、曲によってはP-FUNKっぽい変態クールファンクがあったり、おいそれはJBだろってのがあったり、Slyっぽいのやブラスがガンガン攻めてくるもの、まるでUKソウルチャートの出てきそうなクールなクラブチューン、ラッパーが登場してHipHopっぽい奴などなどと一曲ごとのバリエーションたるや、この一枚でダンス天国を地で行っている。

◆そして最大の聴きどころはインスト曲。特にDr.Johnのピアノで始まる#5などはシンコペートするドラムの音がでかい! そしてKai EckhardtのBassが異様にカッコイイ。これら全てを含んで、40年近いファンク歴を持つZigabooサウンドなのだろう。色とりどりだけど全て高品質で気持ちいい。

◆ジャケのイラストは孫が書いたZigabooらしい。あぁここにも孫バカが・・・こんなにファンキーなバッドガイでも孫には勝てないらしい(汗。

◆公式HPはzigaboo.com



■試聴はロゴをクリックしてね。


むずかしいもんです:Todd Rundgren

at 2004 05/09 01:12

◆混乱した宅録のような状態になってきている。

◆今年になってから事あるごとにHPをいじっている。なぜか? それはコンセプトがブレているからだ。最初は簡単だった。Imperial Bedroomという名前のHPだったころは原稿の待ち時間にうだうだと自分の好きな音のことを書いていればよかった。仕事時間内だから聴きながらかけるわけではない。ライナーやクレジットも確認できないわけで、漠然とした印象を書くしか出来なかったし、それ以上を考えていなかった。

◆そしてBlood Chocolateになってオススメページを作った。そこではきちんと音を紹介した。それもテーマを作り、テーマ別のセレクションにした。このHPは半年ちょっとで消えた。結婚=サイトの合併59 Family Grooveのスタートだ。全然音楽の趣味の違う二人が一緒のページになるのだから、トップで印象付けることが出来ない。「家族」を印象付けるしかなくなった。そしてMusic Shop Creole Festaがスタート。こちらはそれまでのオススメを踏襲しただけだったのでさほど問題はなかった。

◆しかしすでにこの辺りで問題は生まれていた。妊娠・出産でYuukuがHP更新をしなくなり、家族ページの意味がなくなってきた。また、無職ゆえの暇さから、ニューオリンズ特集ページをやりたくなった。ニューオリンズに傾くgojoh、子育て情報しかのせなくなったYuuku。なんだかわからないHPだ。作っている本人が良くわからなくなっているのだから来場者数も増えないわな。

◆そしてMusic Shopの崩壊で、死に掛けていたMusic Shopと過去のオススメの記事を混ぜ込んだススメページを作った。もう一度特集主義にしたのだが、強引にまとめたりしたものもあり、どんなカテゴリーなのか良くわからなくなってきた。カテゴリーが良くわからない上に、誰も知らないアーティストばかり載せるもんだから客の困惑が手に取るようにわかる。

◆さて、ボクのHP作りのコンセプトは2つ。
1、ボクのポータルサイトである。
つまりボクにとって便利なのが一番なのだ。実は便利リンクもレコリストも選曲紹介も自分が確認するためにつけてある。購入希望などはボクがレコ屋にいったときに、CDのタイトルを忘れたら見れるように携帯仕様になっている。何度も指摘されているが、すべて別窓が開くのも自分がネットを見るときに見やすいからである。どんなページでも右クリックして「新しいウインドウで開く」をしてしまうくらいだ。
2、CDへの気持ちや情報を保存する。
説明不要、これも自分のためだな。

◆つまり自意識を他人に押し付けるマスターベーションHPが多い中で、それ以前の、押し付けすらしない自分の便宜のHPだったのだ。

◆しかしここに重要な問題が出た。同じCD聞いている人いたら仲良くなりたいなぁ という欲望と、Music ShopやAmazonなどの「CD紹介」の欲望である。

◆自分のためだけに作ったHPをコンテンツはそのままで、お客様が見やすいページにするのだから大変だ。だらかブレが出るのだ。自分のHPの存在意義が4年弱の間にどんどん変化してきてしまったのだ。

Todd Rundgrenはずっとぶれ続けている。自分はPOP Starなのか宅録系実験アーティストなのか。そのブレがSomething/AnythingとA WizardA True Starであり、ソロとUtopiaであり、音と媒体であろう。ソロで2つのタイプのEgoを見つけたToddはソロはPOP、バンドはプログレッシヴでやっていくつもりだったのだろう。しかしバンドこそライブの存在ゆえPOPを要求され、ソロは宅録ゆえどんどん深みにはまっていく。それゆえにソロ、バンドどちらもPOPで実験的というあけてみなくちゃ良くわからない時代が続き、ようやくソロはPOPで統一するも、録音・メディア技術の進化が訪れる。元来の新しもの好きの性格が出て、聴くたびに曲順が入れ替わるアルバムやネット配信のみのリリースのような、ユーザーが飛びつきにくい媒体があふれる。その反動かライヴは弾き語りになっちゃったりして。。。Toddはいつまでたっても割り切れないアーティストなのだ。

◆ジャケは71年の2ndRunt: The Ballad of Todd Rundgren。ここまでがブレていないポップシンガーとしてのTodd。ブレていないの時期が少ない人だ。あ、でも首吊りジャケの毒気はPOPシンガーとしてはちょっとブレているかも。

◆ってことで嫁の「HPはしばらくいいや」宣言を機にリニューアル。テキストページなのを開きなおってテキストを前面に押し出してみた。どうかな?

◆公式Webはtr-i.com


■試聴・購入はロゴをクリックしてね。


雨の日曜の午後には:Francoise Hardy

at 2004 05/17 00:03

◆雨の日にはフレンチポップが良く似合う。ということで今日は久しぶりにFrancoise Hardyを引っ張り出してみた。

◆フランソワーズ・アルディといえば大ヒット「さよならを教えて(Comment te dire adieu)」やクロード・ルルーシュ監督の映画「パリのめぐり逢い」主題歌「水の中の環(Des Ronds Dans L'eau)」が日本では有名だろう。その次位に来るのがTBSドラマ「沿線地図」のテーマ曲「もう森へなんか行かない(Ma jeunesse fout le camp)」なのだが、ボクにとってアルディ初体験はこの曲だった。

◆淡々と爪弾かれるギターの音色、ぽつりぽつりと口から零れ落ちる彼女のVerse、そして控えめに歌(というよりは語り)に寄り添うストリングス。歌詞の意味はよくわかりませんが、昔々の哀しい恋の逸話を回想しているような、そんな感じがして妙に切ない気持ちになります。

◆Gainsbourg作最先端POPSの「さよならを教えて」もカッコよくて、自立する女の象徴としてのアルディのキャラを良く表した曲です。しかしいくら自立した強い女でも心の底には弱く臆病な部分がある、そんな部分を垣間見せるのが「もう森へは〜」だったのでしょう。

◆中学生のボクにはこの弱い部分にとても魅かれたのかもしれません。久しぶりに聴くアルディ、卒業写真で言い出せなかった初恋相手を見つけた、そんな気恥ずかしさと酸っぱさの混じった気分でした(断言するが男子校なのでそんな思い出の人はいません、あくまで想像です)。

◆ジャケは最初に買った日本編集のベストアルバムもう森へなんか行かない(Ma jeunesse fout le camp)。84年ごろに中古屋で買ったはずです。フランソワーズアルディの公式HPはfrancoise-hardy.com。彼女の徹底的なディスコグラフィーが載っているサイトはFrancoise Hardy Discographie。リリースの国ごとにシングルジャケデータから載っていたりします。



旅にでよう:Taj Mahal

at 2004 05/20 23:21

◆しばらくTajを堪能することにした。実はあんまりTaj Mahalという人が良くわかっていなかったりする。

◆黒いライクーダーとして60年代終わりから今まで、良質のボーダーレスルーツミュージックを作り出しているTajなんだが、今ひとつ乗り切れない部分があった。

◆素晴らしい、実に素晴らしい音のはずだ。それなのに何故だ? カリブな雰囲気がダメなのか? でもニューオリンズのカリブ系は好きだぞ。ではブルーズが苦手なのか?? そんなはずがない。多分どこも嫌いではない。素晴らしいアーティストだ。それなのに何故か乗り切れない。だからTajを理解する旅に出ることにしよう(笑)。

◆まずはお決まりにベスト。90年代前半に手に入れたベストだ。正式タイトルはThe Best Of Taj Mahal Volume1。コロンビア時代の60年代終わりから70年代中盤にかけてのテイク集。なかなかいい。きちんとブルーズしている。特に良いのはアコースティックブルーズの曲たち。エレクトリックギターでバンド編成の曲もアコースティックな印象を持つ。

◆スタンダードブルーズのFishin' Blues、ちょっと早弾きで気持ちいい。続くFarther on Down the Roadの途中で聞こえてくるアコギのピッキングが隠し味風でなんともステキだ。Cakewalk into Townなんて最も好きなタイプ。マッタリしてちょっとオチャラケた感じがなごむ。口笛のある曲ってみんな好き。終わりごろの3曲、パーカスが妙にカリビアン、この辺りからMusic Fuh Ya'の素地は出来つつあるのかもしれない。

◆このアルバムは何度も聴いたなぁ。これは旅の初級編のようだ。ボク的にはとてもGoodでした。不思議なのはVolume2が存在しないことだ、とおもったら2000年の再発盤にはVolume1という文字が消えていた。あはは

◆公式HPはtaj-mo-roots.com、試聴も出来ます。


怒れる若者・儲ける老人:Elvis Costello

at 2004 05/25 22:48

◆以前大瀧師匠のEACH TIME 20th Aniv.が発売された時、いったい何枚EACHを持っているだろうと数えてみた。

◆4枚だった。何とか仕様とかいうちょっと溝の深いLPと廉価版のCD、コンプリート、そして20th。ロンバケとの編集盤のB-EACH TIME LONGも入れると5枚か。同じアルバムをこうも手を替え品を替え出してしまう師匠も師匠だが、それをありがたがって買ってしまうボクも僕だ。

◆実際はLP・なんとか仕様のLP、シングルVOX、CD、86年のコンプリート、89年のリマスターCD、91年の廉価盤CD選書、そして20thと8種類あるらしい。全て持っている人はいるのだろうか?

◆さて、CostelloのGet Happyだ。LP時代にでたものは良いとして、我が家にあるのはUS盤のCDでJake Rivieraの事務所が版権を持っている奴で20曲入っているLPと同じバージョンだ。その後、全30曲になった盤がでたらしい。そして2年ほど前か、ライノがコンプリート盤として2CDになって50曲になった。そして昨年、紙ジャケ仕様の20曲盤が出て、今年ライノの版権を買い取ったビクターが20曲のオリジナルをリマスターし、30曲のボーナスディスクとして出しなおした。

◆今日立ち寄った某レコ屋のコステロの棚にはGET HAPPYの新盤が3タイプ、中古とあわせて4タイプ置いてあった。はっきり言って紛らわしい。50曲になったところまではいい、その後の版権移動も仕方ないといえばしかたない。しかし間の紙ジャケはなんなんだ? そもそも2CDコンプリート盤シリーズが終わっていないのに発売されたこの盤の発売の経緯を誰か教えてくれ。そしてそれを認めたCostelloもそんなに金策に苦労しているのか?昨年のアルバム「North」が外れたのがそんなに痛いのだろうか。そういえば怒涛のようなベスト盤発売とシングルス3作×2枚組も圧倒だ。

◆なーんて怒ってしまいそうになるのは怒れる若者の怒涛の20曲を聴きながら書いているからだろうか、昔ロッキンオンのインタビューで「モータウンの焼き直し」と揶揄していたこのアルバム、やはりせせこましい。どんどんあおられている感じだ。人の感情をこんなに揺らすんだからこのアルバムもやはり名盤なのだろう。しかし紙ジャケは・・・・・・(笑)

◆オフィシャルはたくさんあるらしいが、まあコレか→GuideToElvisCostello





■Rhino盤・紙ジャケ盤・ワーナー盤ということで



今月のオトシャベリへ、●アーティストリスト


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