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ヘルタースケルター:CHARA

at 2004 02/01 05:33

◆眠れない夜、ひさしぶりに岡崎京子ちゃんのファンページi-Okazakiをのぞいて見た。

◆2年ぶりくらいか? 知らないうちに未刊だった「ヘルタースケルター」と「うたかたの日々」が刊行されているのを知った。驚きだった。そして「ヘルター〜」の方は文化庁メディア芸術祭優秀賞を受賞していた。

◆少しずつではあるが彼女は回復しているらしい。受賞の言葉まで添えられていた。とてもうれしいことだ。

◆熱心なファンの方からすれば、何をいまさらという感もあるかもしれないが、彼女のより早い回復と、作家生活への復帰、もしペンが握れなくても小説や原作作家としてでもいいから何か書いて欲しいと願う。

◆そして刊行ブームかどうかわからないが、数多くの作品が復刊されてきているらしい。特にすぐ品切れ重版未定にしてしまうK社の作品がすべて入手可能なのがとてもうれしいことだ(山田さんがんばってくれたのかな?)。京子ちゃんの作品が今後も多くの、心に不安をもった人たちのよりどころになってほしい。

◆彼女の良さは不安定な気持ちを不安定なまま表に出すことを厭わない処ではないか? みんな精神に瑕があり、その瑕口から血が滴っている。決して救いがあるわけでもなく決して絶望があるわけでもない。そんな日常の中で小さな瑕口が徐々に広がっていくさまが刹那的な消費生活の中で描かれていく。

◆引導を渡すのはいつもたいしたことじゃないんだよね。日常のちょっとしたことで堰が切られてしまう狂気、そんなものが実に克明に描かれている。それって太陽がまぶしくて人を殺してしまう不条理が決して法廷で理解されないのと同じで、他人には理解不能な狂気なのだろう。

◆そんな周囲の無理解の中で京子ちゃんだけは自分の痛みをわかってくれる。そんな気持ちを何万人の人が持ったのだろう。ありがとう。

CHARAの存在も京子ちゃんに似ていた。チャラなら寂しさをわかってくれる気がした。いつもイキがっているけど、実はすっごく哀しいオンナノコ。自分から独りになるのに本当は抱きしめてほしいことを口に出せなくて苦しんでる、Violet Blueの頃のチャラはそんな娘だった。でも彼女は幸せを手にしてしまった。ステキな旦那様と愛すべきベイビー、それ以来だんだん彼女の魅力は変わっていった気がする。

◆もうさびしくないママチャラは抱きしめて欲しいオンナノコから、抱きしめてあげる立場に変わった。さびしんぼうの味方を標榜する、カワイイオンナノコのオピニオンリーダーであるチャラには男を惹きつける何かが足りない。オンナノコには受けがいいだろうけどね。

◆さて数年ぶりにヘルタースケルターを読むことにしよう。


優しい音:Olu Dara

at 2004 02/06 00:48

◆就職活動をしていると、だんだん殺伐とした気分になってくる。そんな時はやさしい音を聴きたいものです。

◆そんな中で出会ったのはOlu Daraの98年のファーストアルバムIn the World: From Natchez to New Yorkでした。いまさらオルダラなんてといわれる方も多いでしょう。ピーターバラカンショウの再放送(Archieve)で出会った方です。

◆知らない方がいるかもしれないので略歴をコピペ
1941年1月12日、ミシシッピー州南西部のナッチェズ生まれ。南部のデルタ・ブルースに囲まれ、12歳からトランペットを独習して演奏を開始。1959年、18歳で米海軍の兵役に就き、4年間就労。その間、軍楽隊に所属しながら、ジャズ・バンドでも演奏。カリブ諸国やアフリカのほか、ヨーロッパなどを巡って多様な音楽に触れ、プロフェッショナルへの道を目指した。兵役を終えると'63年にニューヨークに出て手掛かりを探し、'60年代末から本格的なプロ活動をスタート、'70年代中盤にはアート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズでもプレイするなどして頭角を現した。さらに'70年代は、オリバー・レイクやハミエット・ブルーイットなどワールド・サキソフォン・カルテットのメンバーと共にロフト・ジャズの輪の中に入り、活動の場を広げた。'80年代に入ると、トランペット、ギター、ボーカルなどの多彩な才能で自身のグループを主宰する一方、デビッド・マレイやジェイムス・ニュートンなど若手のセッションにも参加し、異色なスタイルを輝かせてきた。キップ・ハンラハンの'83年作品『コンジュア』(イーストワークスエンタティンメント)では、アラン・トゥーサンやタジ・マハールらとの共演も果たしている。以来、ブルース、ソウル、カリビアンを基調に、コルネット奏者、ギタリスト、ボーカリストとしてジャンルを超えた演奏を続け、ミュージシャンズ・ミュージシャンのひとりとなった。名匠ロバート・アルトマンが監督した映画『カンザス・シティ』('96年)では、出演者と音楽監督を兼務。また、カサンドラ・ウィルソンの話題作『トランベリング・マイルス』(東芝EMI)でも、パット・メセニーやデイブ・ホランドと同じもてなしでスペシャル・フィーチャーされている。'98年に待望の初リーダー作『イン・ザ・ワールド・フロム・ナッチェズ・トゥ・ニューヨーク』を発表。最新作は、ドクター・ジョンとカサンドラ・ウィルソンをゲストに迎えた『ネイバーフッズ』(以上、注記のないアルバムはワーナーミュージック・ジャパンから)。息子のNas(Nasir Jones)はラッパーとして活躍中。(ブルーノート東京HPより)

◆長年音楽に携わり老齢になって初リーダーアルバム、ルーベン・ゴンザレスらのブエナビスタ関連のキューバンミュージシャンの方や、タッツ・ワシントン、アル・ブラソード、なんかを連想させる経歴ですね。こういう人生の澱を積み重ねた人の音楽ってどれもみんな優しいですね。欲も名声も通り過ぎたからでしょうか? JBみたいに若い頃からトップでやっているガツガツギラギラした老人もいますが、ある程度年齢を重ねてからデビュー(パッケージとしてのデビュー)した人は、みな本当に音楽が好きで好きでたまらなくて、その愛情が昇華した状態でアルバムを作るから優しさにあふれたものになるんでしょうね。

◆オルダラのファーストはかなりアコースティックです。基本はブルーズで、カリビアン、アフリカ、ニューオリンズ入ってます。タジ・マハルのもっと飄々とした感じというのが近いかな。ジャズな曲も全然ジャズじゃないです。本業のコルネットやトランペットもとても味があって素晴らしいですがどちらかというとボーカルメインでホーンは楽曲の邪魔にならない程度に鳴っています、大体ジャケットではギター弾いてるし(笑)。

◆そのギターがとても歌にあっていて気持ちいいです。Kwatei Jones-QuarteyとIvan Ramirezの二人が主にギターを弾いているのですが(オルダラ自身もギター、ベースにドラムもやっています)、このギタリストたちが奏でる乾いた音と、オルダラの飄々としたボーカルのミックスが、有り余るほどのユルユル感を表現しています。ユルユルしてて温かい、本当の意味の癒し音楽です。エンドレスでこのアルバムに浸っています。ありがとうバラカン。



ジャネクラ以上になるか?:Circe LINK

at 2004 02/10 00:15

◆夫婦でこの59 Family Grooveをはじめて12月で1年半たった。その間のカウンターが5000ちょっとしか回っていない。

◆その前に独りでやっていたImperial Bedroomの時は1年で1万近く行ったはずだ。その頃女房のHPSoul Grooveが一年で7000ちょっと行っていたのだからあわせればかなりの収益(?)の見込めるサイトだったはずだった。しかし、結婚してからというもの、女房は妊娠〜子育てで更新できず、ボクもなかなか進まないという状態、5000はその結果の数字だろう。もう忘れられちゃったのかしら?という感じだなぁ。

◆しかし、1月にリニューアルして以来、新コーナーも増やし、日記も週1以上のペースで書いてみた。そしたらひと月で1500近いアクセスがあった。やっぱオトシャベリの頻繁な更新が一番ってことだねぇ。がんばって新譜と皆様が親近感を持つようなアルバムを紹介していこうっと(笑)。

◆ジャネクラ、イングリード・ルシア、YesYesBoysのデル・レイなどなど、オールドタイミーなキャバレージャズの歌姫が続々登場している。こちらのCirce Linkもその一人か。

◆アコギにウッドベース、ドラム、マンドリン、フィドル、ピアノを加えたシンプルなバンドスタイルにセクシーで妖しげなブロンドの美女。なんとも50年代のポスターにでもなりそうな構図だけど音はどうかと言えば、これがまたオールドスタイルな魅力wを充分に持っている。

◆オールドスタイルではあるが、実はジャネクラに象徴されるオールドタイムフリークだったりマリア・マルダーのようなルーツ探求音楽というわけではない。彼女のデビューアルバムMore Songs! from Circe Linkはブルーズにカントリーポップ、オールドジャズのテイストは充分なのだが、自分の作った曲(全曲彼女の作曲!)に一番あうアレンジをしたらオールドタイムなムードになりました、という処だろう。そこには古い時代へのこだわりも憧憬も見えはしない。そして多分あの時代にこの曲たちは生まれなかったであろう。あくまで現代の人が作った現代の曲だ。そこがジャネクラ的オールドジャズ少女やマリア・マルダー娘たちとの大きな違いだ。

◆そうはいっても聴く側にとってはなんとも気持ちのいいノスタルジックミュージックである。「たまたま閃いたから音楽を始めちゃった」というパンクバンドのコーラスしかやったことのないLA娘とは思えない。CDも通販しているカフェCafeGOATEEのHPで書かれていたが「ときにフェアグランド・アトラクションを思い出したりも」する。

◆そんな過去のイメージや嗜好にとらわれることなく自由奔放に作ったサーシ・リンク嬢の「全く新しいオールドミュージック」、とくとご賞味くださいませ♪

◆HPはこちら→circelink.com試聴も出来ます。




牛丼とジャンプミュージック:Deacon John

at 2004 02/11 22:52

◆「牛丼」がなくなるのは残念だが、朝日新聞まで吉牛を国民的食べ物と賞賛するのはいかがなものか。

◆ワイドショウが二流のタレントのスキャンダルを、さも国民的惨事のように書き立てるやり方に似ている。もはや全国紙もワイドショウも変わりないということか。もっとも騒いでいるコメンテイターたちが、どう見ても牛丼屋にはいかなさそうな金持ちオバハンたちばかりなのが笑えるね。

◆それよりもアメリカにある吉牛の店舗の対応を知りたい。ビーフボールはやっているのか? やっているのなら吉牛はアメリカ人にはBSEの危険にさらされてもいいと判断しているのか? まあアメリカでBSEの患者が出て、何億ドルの訴訟問題にでもなればそれはそれで面白いものだ。でもその時はすでにブッシュ政権じゃないんだろうな。全頭検査をしないのもイラク戦争と同じようにパパブッシュの意向なのだろうか? パパの院政はまだまだ続く。

◆そういえば圧倒的カリスマだったレーガンの後をついでパパブッシュが大統領になったときは、なんとも影の薄そうで官僚的な雰囲気の大統領だったが、こんなに影響力を持つとは誰が思っただろうか? 風見鶏中曽根がいまだに息巻いているのとなんとなく似ている。政治家ではスロースターターの方が影響力は大きいのね。

◆影響力の誇示という意味では昨秋にでたRussell Batiste Jr.のファーストリーダーアルバムがノセンティチェリ、ジョージ・ポーター、ストルツ、ジョン・グロス、ヤマギシジュンジ、アイヴァン・ネヴィル等々の名が並ぶ顔見世的アルバムだったが、いろんな有名人の演奏が聴けるよーということ以上でも以下でもないアルバムだった。リーダー作発表のご祝儀的な参加という感想がぬぐいきれない。やはりまだまだこれだけのつわものたちをリードするには若すぎたのかもしれない。

◆同年発表されたDeacon John (Moore)のアルバムDeacon John's Jump Blues Music From The Filmも同じように「ご祝儀」アルバムだがこちらはAllen Toussaint、Dr.John、Wardell Quezerque、Henry Butler、Amadee Castenellらルイジアナの重鎮たちを上手く使いこなしている。

◆ディーコン・ジョンは40年のキャリアを持つスライドギタリストで、Cosimo MatassaのスタジオバンドでAaron NevilleのTell It Like It IsやChris KennerのLand of 1000 Dancesを、アラン・トゥーサンのスタジオバンドではErnie K-DoeのMother in LawやLee DorseyのWorkin' in a Coal Mine、Irma ThomasのRuler of My Heartなどのヒット曲のバックを務めている。60年代にすでにソロでなんともいなせなR&Bチューンを発表している。近年では90年にヘボいボーカルフュージョンまがいのアルバムを出したり、コテコテなブルーズのライブアルバムを聞かせてくれたりしていた。しかし、その40年にも及ぶ活動が認められ、2000年にめでたくLouisiana Blues Hall of Fameに選ばれた。今回のアルバムはそのお祝いアルバムのようだ。ライブ録音で、DVDも同時発売している。

◆しかしこのアルバムは彼らしいブルーズアルバムではない。Wardell Quezerque指揮するビッグ・バンドをバックにスイングするJump&Jiveのアルバムなのだ。記念アルバムで新趣向を見せる(それも真似事ではなく完璧なジャンプミュージック!)とは引き出しの多いアーティストはいいねえ。Ray CharlesのJumpin’In the Morningで始まるスタンダード14曲、どれもご機嫌な大人の娯楽である。

◆トゥーサン、ジョン、バトラーらの豪華なキャストが決して出すぎることなく、あくまでバックミュージシャンとしてディーコンのハイトーンヴォーカルをサポートしているのがとてもいい調子を出している。トゥーサンにドクター・ジョンの曲を弾かせたり、そのドクターにTIPITINAを弾き語りさせたりなんとも興味深い。また、Teddy Boutte(John Boutteの姉妹)が唄うPiece of My HeartはJanis Joplinが唄った事で有名だが、こちらはオリジナルのErma Franklinのヴァージョンを元にしている。

◆そしてこのアルバムの別の趣向だが、ピアノの聴き比べも楽しい。Allen Toussaint、Dr.John、Henry Butlerらツワモノまざり、若き実力派のDavell Crawford(Jock-A-Moのヒットで知られるSugar Boy Crawfordの孫)の鍵盤も聴くことができる。4人のキーの聞き比べ、かなり興味深い。

◆そんなクレジット系だけでも充分魅力的なこのアルバムだが、やはりなんといってもディーコンのジャンプ&ブルーズのグルーヴがなんといってもいい。スマートで楽しく派手なところは派手に、抑制するところはきちんと抑制したビッグバンドダンスミュージック。40〜50年代でもこんな楽しいスイングはなかなかお耳にかかれなかったでしょう。影響力を誇示するどころか、とんだ実力を見せ付けた名盤になっています。

◆公式HPは→deaconjohnsjumpblues.com


今月のオトシャベリへ、●アーティストリスト


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