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笑い飛ばせ!!:Hoosier Hotshots

at 2003 03/05 21:56

◆先日新聞で銀行や証券会社だった土地がいまやカラオケや100均ショップになっているという記事を見た。その文章のまとめは「土地は資産としてではなく使うことに重点をおかれる時代に入った」云々ということだったと思う。

◆僕は1993年春に社会人となった。つまりバブル破綻後初入社組だ。この年以降、利率も物価も年収も株も就職率もどんどん下がっていき、上がるのは失業率と債務のみという時代に入っていく。つまり僕の年代にとっては「バブル」というのは「バイトの時給が良いい」だけの時期に過ぎない。

◆バブルの時に文学部生だった自分にとっては、株や土地が転がってお金が儲かるということが良く理解できなかった(今でも理解できてない?)。株なんてパチンコ競馬と同じような賭け事のようにしか見えなかったし、土地を転売するというのは儲かるというのもなんだかおかしな話にしか感じなかった(本やCDを売る時、かならず定価よりかなり安いだろ!)。土地なんて住んでなんぼやろ、と乏しい知識で思ったものだ。

◆普段真面目なオトナたちがみんな、ありもしない金で賭博に夢中になっている、そんな風にしか思えなかったものだ。

◆税金対策で交際費使い放題だって? でも使ったらそれだけ損になるんじゃないのかな。借りた金で買った土地を転売して儲ける? 自分の甲斐性以上のお金を借りてどうやって返すのだろう? 大体、返せる保証がない金をホイホイ貸してる銀行って大丈夫なの? 使わないで持っていることに意義のあるマンション物件ってなに? そんなの地震きたらおわりじゃん。。。エトセトラ

◆学生の素朴な疑問はほとんどそのまんまの形で社会にはね返って来た。しかし一度「自転車操業」に陥ってしまった経済は、なかなか元には戻らない。土地が資産じゃなくて建物を建てるところだなんて子供だって知ってるよ、でもそれを天下の日経新聞が一面で謳わなければいけないほど日本の価値観はおかしなところに行ってしまったのかも知れない。

◆戦後の復興から高度成長そして一時の挫折を乗り越えての「ジャパン・イズ・ナンバーワン」、それはサクセスストーリーのハッピーエンドだったのかもしれない。ただ、物語にはハッピーエンドがあっても、現実には「エンド」は存在しないこと、「エンド」の後にも時間は過ぎていき、人々は生きていかなければならないことが当時の日本には忘れられていたのだろう。借りたら返す、使わないものは買わない、人の褌で相撲はとらない。みんな当たり前のことなのにね。

Hoosier Hotshotsは1930年代アメリカのオチャラカバンドだ。30年代といえば日本は軍事まっさかり天皇陛下万歳時代だ。そしてアメリカは金融大恐慌の最中だった。都市部以外の南部では干ばつが続きジョン・スタインベックの小説「怒りの葡萄」さながらの世界、ルーズベルトのニューディール政策が景気回復につながるのは第二次大戦の特需を待たなければならない時代だった。

◆そんな時代になーんとなく間が抜けてお気楽極楽なカントリースイングはどんな風に受け入れられていたのだろうか? 洗濯板にクラリネットにホイッスル、そんな気の抜けるようなオフザケ編成で「骨がないからバナナが好き」とか「洗濯板に夢中」とか「製氷室で待ち合わせ」なんて歌を高らかに唄っちゃうのってどうなのよ? 笑うしかないじゃん。でも不況ゆえの皮肉な笑いじゃない、心のそこから「わっはっは」と笑える笑い。自分たちの今までの馬鹿さ加減を、落ちぶれた身の上を、展望の見えない未来を、大きな声で笑い飛ばす笑いなんだと思う。笑い飛ばして全て忘れてがんばったからアメリカはナンバーワンになったのかもしれない。

◆日本はいまだ、笑うことすら出来ない、いつもため息をついて10年過ぎてしまった。ため息は不幸を呼び寄せるんだよ? 入社以来、給料が増えたことのない僕らだけでも、心のそこから笑ってみようじゃないか!

◆画像は昨年リリースされた彼らの入門アルバムHavin' Fun With The Hoosier Hotshots、公式?ファンサイトは→hoosierhotshots.com

笑いながら死んでいく:Leningrad Cowboys

at 2003 03/07 15:40

◆先日だが99年の東海村放射能臨界事故に対し司法の判決が下った。以下の文章は朝日新聞の原文どおり。

鈴木秀行裁判長はJCOについて「長年にわたるずさんな安全管理体制があった」と指摘。「極めて単純かつ重大な過失で刑事責任は重い。原子力の安全性に対する国民の信頼を著しく損ねた」と述べた。安全審査をする国の責任には触れなかった。

 当時の事業所長越島建三被告(56)に禁固3年執行猶予5年・罰金50万円(求刑禁固4年罰金50万円)、JCO(東京都港区、稲見智之社長)に求刑通り当時の法定刑の最高額である罰金100万円が言い渡された。他の5被告は、いずれも執行猶予つきの禁固3年〜2年(同禁固3年6カ月〜2年6カ月)とされた


◆日本は本当に面白い国だと思う。臨界事故といっても放射能の爆発、つまり原爆が落ちたのと変わりないではないか。実際はある程度小さな爆発で済んだのかもしれないが、もしかしたら関東全域が吹っ飛び、日本全土に放射能の雨が降り注ぎ(いや、実際降っているのかもしれないが)、もっと大きければ地球が死の星になっていたのかもしれない事故である。そして被爆した人々も、数年後あるいは数十年後に大きな苦しみを背負うことになるのかもしれない。それが全員執行猶予で罰金合計150万だっつーから笑いが止まらない。

◆戦後日本の法律は「犯罪者に甘い」といわれている。死刑の廃止もそうだし、少年法もそうだ。また、国家的な犯罪に対応できてもいない。基本概念がいわゆる性善説であり、追い詰められて犯罪に走らざるを得なかった人たちへの「更生」のシステムとして刑罰が処せられている。だからたとえテロであっても外国からの攻撃であっても、このような人為的な大事故であっても(被害の程度や思想ではなく)一般市井の事件事故と同等に取り扱わなくてはならないのであろう。そして少年法もどれだけ残虐でも時間と教育によって「更生」可能だという希望的観測によってなりたっている。

◆JOCに課された罰金100万円といえば、(もちろん適用された法律は違うので一概には言えないが)いわき市「富士鉱油」の軽油取引税脱税事件や仙台市パチンコ店「イムズ松森」がパチンコ・パチスロ台を不正に改造した事件と同じ額である。やはり笑いが止まらない。

◆あの時、刻々と変わる災害状況に我々はどうしたのか? 一瞬でも「本当の身の危険」を感じなかったか? 横田から頻繁に飛び立つ米軍機を見上げて残される自分の身の上を哀れまなかったか? NHK気象状況の風向きを見て一喜一憂しなかったか? サリンや神戸地震と同様に、世界中が日本に注目したあの夜のことを忘れてはいけないはずだ。自分たちのためにもそして子孫たちのためにも。

◆もし地球の最後の日が来たらあなたなら何を聴く? もし予定がないならLeningrad CowboysのKasakkaやThose Were The Daysをバックに僕と一緒にコサックダンスを踊ろう。もちろん長〜いリーゼントとブーツとグラサンで。そして汗だくだくになって足の痛みをこらえながら大笑いするのさ! 馬鹿笑いしながら死んでいくのも悪くないと思うよ!!

◆ジャケは1stアルバムWe Cum from Brooklyn

今月のオトシャベリへ、●アーティストリスト


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