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憧れ:森田童子

at 2002 10/01 23:36

◆僕にはどうも憧れの時代というのがある。自分がその時代に生きたいというのではなく、その時代に対して無意味に劣等感や無力感を、感傷という形で感じてしまう、そういう時代だ。

◆それは僕の知っているほんのちょっと前、そう、安保闘争から70年代までだ。全共闘、中共、ベトコン、4畳半、団結、思想、デリダやバタイユ、アングラ演劇、唐十郎、金井美恵子、20歳の原点、あさま山荘事件。。。。当時を知っている人にとっては時間の前後関係も本来の意味もまったくわかっていない馬鹿者の発言だろう。

◆上記の羅列でも多少分かるかもしれないが、僕を魅了するのは、どちらかといえば安保闘争自体ではなく、無力のまま流されて押し切られた70年安保とその後の無気力のほうである。信頼と力で団結できた安保といよりは、混沌の中で死者まで出てしまい、思想という頭でっかちがアングラという虚無へと転落していった時期、ここに対する妙な憧れと同着がある。

◆冷静に見ればダメな時代だ。ここに自分がいたとしてもたぶん、彼らのように妄信的にしかし絶望的には生きなかったであろう。しかし、何かしらの生きている証をつかもうともがいては壁にぶち当たってしまう人たちの息遣いを感じてしまう。こんなに一生懸命に生きようとした時代に対して、なんでもマニュアルがあり、秩序があり、現実感のある「希望」がある時代を育ってしまったぼくは申し訳なさと勝つことができない気持ちでいっぱいになる。許してくださいといいたくなってしまう。

◆自分で書いていて、やはり変だ。色々な具体的歴史的な間違いがあるし、想いのせいで混乱している。誰も賛同できないだろうが、とにかく漠然とそんな感情を持ってしまうことだけは言いたい。

◆13歳のとき、近くの貸しレコード屋で初めて森田童子を知った。夜想曲。男か女か全く分からない外見(ジャケ)と名前、そして、今にでも崩れ落ちてしまいそうなかぼそい歌声。なぜだか佐藤公彦(ケメ)を思い出したものだ。そしてその硝子細工のような歌声と芯の強さとのアンバランスさに、生々しい傷跡を見せられたときのようなショックを覚えたのだった。

◆その数年後、テレビ番組のヒットで森田さんの音源が再び世の中にさらされたとき、彼女の歌声があまりにも世の中の雰囲気とかけ離れていたのに、ゾッとしたものだった。それ以外はすべすべでつやつやの美しい肌の中に不似合いな肉腫を見せられたような感じ。やはりあの時代の生み出した力はあの時代と一緒に葬り去られていた。

◆ライブハウスという音楽のアングラの終焉を宣言して83年に森田は音楽世界から去る。翌年風営法改正案が成立し、日陰の世界と日向の世界の境界線が消滅してゆく。

◆森田童子研究室はこちらへ→


SOLIDということ:Wilko Johnson

at 2002 10/14 00:13

◆名古屋に帰って以来、いいもんばっか食っている。

◆無論、父がたかがラーメンを食うために3時間も車を飛ばす人だからでもあり、仕事が食料を扱うということもあるだろう。しかし、ちょっとこれはやばいんじゃないの? 分不相応だよ、って感じの食事が近頃増えている。

◆この一週間だけで、福井の蕎麦、車えびのお好み焼き(4人前10000円)、つばめの巣のスープ、あわび、ふかひれ一枚丸ごとのソテー(かな?)、そして極めつけは和田金@松阪の牛肉のすき焼き(一人前2万円以上)とそのお土産に頂いた牛肉。。。やばいっすね、たかが30ちょっとの若造のやることじゃありません。きっと罰が当たります。

◆いや、罰は既に当たっているようで、どうも体が重い。もう少し、というかかなり身体をシェイプしないといけないようだ。そのためには心をソリッドに、アグレッシブにして、ハングリー精神で頑張らなくてはならないだろう。ハングリーだからって出されたものは残さず食べるという2ちゃんねるの標語のような状態から抜け出さなくてはならない。マジで

◆そういえば先日今は亡きイアンデューリーのライブビデオを見た。初めて動くイアン見たさにエアチェックしたのだが、もっともカッコよかったのは、ライブ半ばで飛び込んできて2曲ほどプレイしたWilko Johnsonだった。

◆元Dr.Feelgoodのウィルコ、一時期イアンのバックバンドにも在籍しただけのことはあり、乱入したのにも関わらず息もぴったり。マッシュルームカットに全身黒装束、大きな目をぎらぎらと光らせた彼が、テレキャスターをマシンガンのように構えてステージの上を横っぱしりする姿は、主役のイアンをかすませてしまうほどの勢いだった。

◆彼は叙情的なメロディを奏でるギターの神様でもなければ、難解なコードをあれよあれよと作り上げてしまうテクニシャンでもない。親指一本のフィンガーピッキングでコードをかき鳴らすだけの芸も何もない普通のギタープレーヤーだ。しかし、その攻撃的で贅肉のかけらもないプレイは聴く者に武士道のような気概を感じさせる。まさに一刀両断、刃向かうモノを天からぶった切るようなギターは誰も真似できないのだろう。同じ曲でも彼がリズムギターにいるといないとでは、まったく違った曲になってしまう、それは彼の脱退以後のフィールグッドで実証済みだ。

◆ライブアルバムWatch OutのプロモーションをかねてWilkoが来日した。その怒涛のような迫力に興味を持ち、背伸びした田舎の高校生はライブ会場まで足を運んだ。初めて見たWilkoは立ちはだかる壁を凝視するように客席をにらみつけ、攻撃するようにギターをかき鳴らした。求道者であり戦士である彼の音色は、ソリッドとかシェイプとかアグレッシブとかそういう言葉の本当の意味を教えてくれる。

◆つまり僕はそう簡単にはソリッドやシェイプやアグレッシブという領域にはたどり着けなさそうということだ。┐('〜`;)┌

◆Wilkoの公式HP。日本語もあります。


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