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生まれは隠せない:TAHITI80

at 2001 05/02 18:12

◆雨の日は昔の傷が痛む。

◆どんよりした空を眺めていると、その向こうに、あの日あの時のことが、まるでつい先日の様に思い出される。あの時、どうしてあんな行動をしてしまったのか、自分は何がしたかったのか、そんな事をふっと考えてみる。しかし、答えは忘却の彼方に行ってしまい、言葉を返してくれるものは誰もいない。

◆いや、本当は、すでに答えは得ているのかもしれない。ただ、それを想起したくないだけ。そんな臆病な自分を嘲笑ってみる。歳を取るということが、人を臆病にさせていくものなら、もう後戻りは出来ない。思い出したいことだけしか思い出さない、そんな技を身につけてしまった自分をズルくかんじる、そんな歳になってしまった。



歳を省みずに、スノボーが滑れるようになったのが嬉しくて、ツイ無茶をしてしまった、
2年経っても足首が痛い。。。。。





◆春なのに暗い空に似合う音楽というと、なぜかフランスはノルマンディから93年にデビューした4人組TAHITI80のPUZZLEを思い出した。昨年流行したあの軽快なアコースティックバンドだ。涼しげで耳に小気味いい演奏とクールでポップなジャケット、おしゃれに敏感な都会派のテーマソングにでもなるかのように街中に溢れかえった彼らの音、しかし、僕にはなぜかどんよりしたイメージがついて離れない。

◆たぶん、その原因は彼ら自身から滲み出る「ヨーロッパ臭さ」だと思う。決してアメリカ音楽の様に乾ききれないその弦の音、軽快ながらも小さくまとまってしまう旋律、そしてユニセックス風なボーカル、まるでフリッパーズギターの様だ(笑)。

◆いくら夏っぽくしようとしても、ぼくにはPuzzleからは青い空や入道雲やビーチパラソルやビキニに小麦色の肌は想像できない。たとえビーチにいても、サーフィンや泳いでるのではなく、木陰で読書をしていたり、たとえば、水着を着ていても、上下つなぎの水着を着ている男の子だったりする。どうやってもノルマンディの夏やプロバンスの夏のイメージしか思い浮かばない。これが、生来の個性なのだろうかと納得してみたりする。生まれは隠せないものだ。だからたとえ録音がNYでも、乾いたアメリカの土壌には受け入れられなかったのだろう。でもヨーロッパと同じ位湿り気のある日本で聞くにはとても心地よくって安心できる。とくにこんな雲の厚い春には、心の重みを取り払ってくれる。気持ちイイアルバムだ。教えてくれたあの娘にコレだけは感謝しておこう♪

◆オフィシャルは。フランス語だよ(笑)。

Spiritualということ:Speech

at 2001 05/14 11:02

◆spiritualという言葉がどうも苦手だ。英和辞典だと「崇高な、精神的な、霊的な、霊感の強い」という訳語が一番に来るので、妙に精神的宗教的なイメージがある。音楽でもSpiritual Soundと銘打たれると、「あぁこのアーティストもアッチの世界に行っちゃったのね」という感想を漠然と持ってしまう。内容もシンセサイザーを喜多郎のように使いまくったり、現代的室内楽だったりして、とても踊ったり口ずさんだリ出来るものではないものを想像してしまう。無論、そういうものが多いし、そういう音楽を求めてパッケージを買い求める人も沢山いるので、それでいいといえばいいのだが、Spiritual Musicをそういうヒーリングミュージック/現代音楽だとカテゴリーしてしまうのはどうも苦手だ。

◆Stivie WonderやVan Morrison、Bob Marleyを聴いたとき、とても優しくって、とてもいたわってくれる音にであったような感想を持った。包容力だろうか、それとも切なさだろうか、傷ついた心を理解してくれる人に出会ったときのような安心感が体の中に広がる。そして自分も他人に優しくなれるそんな気がする音楽だ。

◆Jammin'の切なさは自分も傷を持つからこそ他人の傷もいたわる事の出来る人の音だと思う。Isn't She Lovelyのアイシャへの愛情は、自分までも愛されているような安心感を持つ。Stoned To Meの孤高さは、哀しみ苦しみを包容しても尚、向かい風に立ち向かおうとするパワーを与えてくれる。そんな音楽もSpiritual Musicだと表現したら間違いなのだろうか。

◆しかし、そのように表現してしまうと「崇高な、精神的な、霊的な、霊感の強い」という訳語では的ハズレとなってしまう。英英辞典で調べて見ると以下のようになる

    1 Of relating to consisting of or having the nature of spirit;
      not tangible or material. See Synonyms at immaterial.
    2 Of concerned with or affecting the soul.
    3 Of from or relating to God; deific.
    4 Of or belonging to a church or religion; sacred.
    5 Relating to or having the nature of spirits or a spirit; supernatural.

◆2の「affecting the soul、気持ちに訴える」というのがぴったりなのかもしれない。「Spiritual Music」=人の気持ちに訴える音楽、この場合そういう解釈がとてもしっくりくる。

Speechが昨年、アジアのみで発売したGoldDiscSpiritual Peopleも、そのタイトル通りSpiritual Musicだ。HIPHOPという攻撃性の強い音楽/テーマを扱っているはずなのに、なぜかとても心を優しくしてくれる。決してCalmだったりFolkyだったりというわけではない。彼のバンドArrested Deveropmentが得意としてきたアバンギャルドHIPHOPの音楽性はまったくといってイイほど変化していない、むしろ進化している。しかし、演奏された音――つまり弦の響きだとか、リズムの座り具合とか、キーの手触りとか、もちろん歌声も――がとても柔らかいのだ。まるで傷口をいたわるような温かさで触れてくる。

◆MarvinやMarleyの楽曲を現代的に、しかし楽曲の精神はむしろより深めて、甦らせた事でユーザーの多大な評価を得たSpeech。彼は楽曲をカバーしたことで、その気持ちまでカバーしてしまったのかもしれない。このアルバムさえあれば独りでいられる気がする。踊ることも笑うことも幸せに浸ることも泣くことですらもこのアルバムは許してくれる。そんな気持ちになれる名盤だ。Arrestedの新譜はまだ聴いていないが、こちらも期待できそうだ




人それぞれの感受性:GratefulDead

at 2001 05/10 15:32

◆先日、ある娘と呑んでいた処、soul系のBGMが流れてきた。

◆軽いビートに割合平坦なメロディを歌うきれいな女性の声、こういう歌はイイ感じに身体がリラックスっしてくるから好きだと思った。まったりと、眠気ほどではないにしろ、1日の疲れを癒してくれる音楽だなァ、と感じ、隣りの娘を見ると。。。。なんとその曲にノッているではないか! 

◆「こういうリズムの曲って身体が自然と動きますよね〜」「いい歌〜」なんてご機嫌な彼女を見ていて、つくづく感受性って人それぞれだなぁと思ったものだ。この曲がこの音量ではとうてい踊れない、ぼくにとっては眠るときにかかっていてもイイくらいの曲だったのに。

◆ある人にとってカタルシスを感じる音楽が別の人には元気を出すためのアイテムだったり、同じ曲をフォークだと思ったりロックだと思ったり、音楽って感受性に訴えるものだから受け手の感じ方次第でどうにでも解釈されるものだなぁと感じてしまう。

◆それをこういう風に感じなければダメだ、とかっていうのは単なるお節介で、自分の考え方を他人に押し付けるということでヒトラーと変わりない。それがたとえ、その曲を作った本人だとしても、感性を押しつけるのは傲慢だと思う。
(人それぞれだということも、それ自体「ぼくの考え」であって、「俺と同じ考え方をしなくちゃダメだ」と思っている人に押し付けちゃったらダメなんだよね。。。難しいな)

Grateful Deadというのは、ドラッグミュージックだとか元祖ジャムバンドだとかいわれるが、ぼくにとってはアメリカ南部の音なんだよねぇ。いわばカントリーロックのような部分が魅力的なのである。

◆JerryGarciaBandから入って、名曲Uncle John's Bandに出会ったことでWorking Man's Deadを手にしたことがもっとも関係してるのだろう。だから名盤From the Mars Hotelや復活作In the Darkがどうしてもピンと来ない、それで結局ガルシアアコースティックバンドに戻ってしまう。たとえ彼らのルーツがシスコのフラワームーブメントだとしてもぼくにとってはアコギがキレイでカントリー風味の味が渋いサザン系フォークロックバンド。

◆音楽だけでなく、われわれ個人HPも含め、公衆の面前にさらされたものは、それだけで作者当人の想いとは全く別に一人歩きするものだ。そして他人の賛辞や誹謗をも甘んじて受けなければならない。だから物事を他人の前にあらわすことは本当に勇気と決意のいることだと思う。

◆公式HPは→

ちっくしょぅ、ガキどもが楽しそうだ!:スケボーキング

at 2001 05/11 18:52

◆近頃のスケボーキングを見ていると、デビュー当時の電気グルーヴを思い出す。ひたすら元気で、毒吐きまくって、やんちゃな悪ガキ、そのやんちゃさがとても爽快な感じだ。

◆HIPHOP系って見た目が結構恐いんだよね、近くにいたら絡まれそうでf(^_^; でもそんなヤツらでもCDパッケージでなら楽しくコミュニケーションできる。さすが文明の利器(謎) 世の中につばを吐きながらも、その世の中に認められるよう悪戦苦闘している矛盾なぞ、これっぽっちも考えずに、一生懸命ビッグになろうとがんばっているSBKの姿がよく見えてほほえましい。音楽自体も非常にノリがよく、各々の音素材もとても考え込まれていて感心させられる。スマッシュヒットのEPISODE1を中心とした前作のアルバムmagic moment...あたりからかな? スピード感や騒々しさが、それだけでなく、聴かせようという努力と結実してきた。つまりきちんと大衆を意識して音楽を作り出したということだろう。それでもっての反骨精神、とても爽快だ。

◆電気・すちゃダラ・EastEnd・McAT・・・色々なラップを全面的に採り入れたミュージシャンがJ-POPのメインストリームに現れたが、どのユニットも一時的な「色物」扱いのまま、サブカルチャーの世界に帰っていった。いまだにメインストリーム、いわゆる歌謡界においてはラップという音楽表現方法は曲の間奏における余興程度の地位しかないのかもしれない。

◆時々「パラパラやソウルやラップや」という並列表現を耳にするが、ダンス方法の名称である「パラパラ」音楽ジャンルの「ソウル」演奏方法である「ラップ」がすべて渾然一体となって並列されているのであって、大きな誤解だ。しかし、その区別が上手くつかなくてもこまらないのが現在のメインストリームユーザーの意識レベルであろう。つまりラップの地位なんてそんなものなのだ

◆アメリカでラップ&HIPHOPという、楽器不要、作曲不要のダンスミュージックのムーブメントが定着したのは、貧富差や人種差、そしてダンス文化の存在が欠かせないだろう。しかし我々日本では、楽器も多少小遣いを溜めれば、ほとんどの人間が購入可能だし、多少の音符を読む知識などは課外活動を含めた学校教育でなんとでもなる。また、ダンス文化自体はまだまだサブストリームだ。そんな国で果たしてラップやHIPHOPが根付くのだろうか? ファッションとしてのHOPHOPらしさならばありえるが、精神として、そして行き方としてのHIOHOPが必要とされない限り、いつまでたってもメインストリームには認知されないのであろう。

◆しかし、そんな疑問や否定は全く考えたことすらないくらい能天気に、SKBはスピーカーを鳴らしつづける。ボーズの箱では満足いかず、叩き壊して、踊り出しそうだ。こういう子供っぽい無茶な遊び方は。。。。。。楽しいだろうなぁ。いいぞ! がんばれ、悪ガキどもよ!!

◆公式HPは→

迷いと決断:Janet Jackson

at 2001 05/22 14:18

◆解決しなくてはならない問題がたくさんある。態度を決めなくてはならないことが多い。いつも大体、決めウチで態度を決め、それを保持するために伏線を張りまくるのが自分の保身だったが、そうはいかないことも出てくるものだ。

◆何も決めないで、何も責任をとらないで、ふんわり浮かんで生きていきたいものだが、土台ぼくの人生はそういう曖昧模糊にクラゲ人生を送るのには向いていないらしい。いつもはったりをかまして大見得を切らなければならないシチュエーションに陥ってしまう。あぁ器用に逃げて生きているヤツラがうらやましいぞ。

◆大見得を切るって事は、自分が全部責任をとるぞ! 誹謗中傷は俺にくれ!! ということであり、大変分が悪い。そして見得を切っても大成するほど甲斐性があるわけではないので、やはり責められるのはぼくなのだ。胃が痛いぞ。そうなると精神的にも後ろ向きになりがちで、どうしても現実逃避、問題回避に走る。それでも時間は確実に迫ってくるわけで、回避もできず、決心もできない中途半端な状況で判断をしなくてはいけない状況は避けたい、しかし。。。

Janet Jacksonの新譜All For Youもまさにそんな状況でできあがったアルバムのような気がする。先行のシングル2曲はたしかにすばらしい出来だが、当初のリリース情報ではジャムルイがプロデューサーから外れていたり、プロモ盤についていたパッケージボックスがコンシューマースタイルになったらなくなっていたこと等に代表されるような、迷いというか試行錯誤が感じられる。確かに一曲一曲のクオリティはすばらしい高さなのだが、全体がまったりと印象に残らない。つまりジャネットを含めたクリエイトスタッフの「気合い」がどこか中途半端に抜けているのだ。

◆個人的なトラブルなのか、ビジネスパートナーとの軋轢なのか、クリエイティブ的な方向性の迷いなのか、何はともあれ迷いが大きい。今までの上り調子だった勢いが消えうせ、「出さなければならないのでアルバムに仕上げてみました」的な出来である。

◆もちろん才能もあるしプロ意識も確固としているジャネットのことだから中途半端な作品で終わらせることはない。だからクオリティは高いのである。しかし、迷っている。迷ったままリリース時期が迫ってしまった、だからプロとして出来る限りの事はしました。価格&ギャラに見合う商品にはなっています、でもそれ以上求められても困ります。そんな感じがする。

◆Control以降、世界の頂点に立ちつづけたジャネット、しかし彼女もそろそろ妙齢である。今まではただ元気に踊って爆走していればよかったのだろう。しかし前作Velvet Ropeで大人の音を見せつけて1つハードルを飛び越えてしまったジャネットは次のハードルを見定められないのかもしれない。どちらに向いていけばイイのだろうかと。ジャネットがエンターティンメントに徹し、ダンスソングクリエーターとして広くオーディエンスを楽しませていく方がイイのか、究極のソウルボーカリストに徹して、芸術性を高めていくのか、それをはかりかねているような印象が残る。どちらにしても得るものも失うものもとても大きいだろう。でもどっちつかずにいると、現在のような迷いを前面に出したまま、人前に顔を出さなくてはならなくなる。この状態は早い内に解消しなくてはならない、悔いを残さぬために。

◆がんばれジャネット。おれもがんばる。

◆公式は→

やせなくちゃ:Medeski Martin&Wood

at 2001 05/15 11:28

太った?


 太った??


 太った???

今日続けざまに3人に言われた。。。

◆余裕があると引きこもり、忙しいとストレス食いをする。無類の肉好きで内勤。足を怪我したおかげで走ることあたわず。集団行動とスピードとスリルに関心がない。。。。


太ることを前提とした人生ですな


◆小さかった頃は病弱でやせ細ってて、今にも倒れそうな美少年、TVからも子役での出演依頼があったそうな、そうなってたらケーキ屋けんちゃんの様に哀しい人生を送っていたのかもしれないと思うと、懸命な両親に感謝する必要があるなぁ。

◆そんなことを言っていても仕方ないのでシェイプしなきゃならんなぁ。誰か一緒にhave a sporting timeってどう?

◆音楽もシェイプされたものがイイよねぇ。色々ごてごてしたのも上手くやればおもちゃ箱みたいで楽しいけど、雑然とした感じになりがち。そうとうきちんと構築されていないと駄作になっちゃうもんね。

◆あれも欲しい、これもいれなきゃって欲張っちゃうと、実は何がしたかったのかわからなくなっちゃう。雑念を捨てることも作品を作ることにとってとても大切だよね。そのためには自分のスタイルを決めること。自分が何をやりたいかとオーディエンスが何を求めているかの融和点をきちんと見定めないとどうしようもなくなっちゃう。

◆そこんところMedeski Martin&Woodが98年に出したCombusticationは本当にスリムだ。自分たちの音楽がどう言うものかきちんと判ったのだろう。そしてその音楽の見せ方も心得ている。アルバムと、そのMixを中心としたミニアルバムCombusticationEPを使い分けてリリースしたところに、ファン層の二重構造(フリージャズファンとジャムファン)を見とおしたのだろう。

◆その様にすることで、一枚のアルバムがよそ見することなく目的通り作られる様にする。jazzファンに向けては、インプロビゼーションを中心とした洗練された楽器のプレイを見せる、そしてEPではきちんと踊ることへの欲求を満たす作りをしている。

◆そしてどちらも音を限定している。最小限の楽器と最小限の技術にて最大限のグルーヴを引き出す。そのシェイプされた姿勢こそ、JAMバンドとして認められた一因だろう。

↓日本盤ジャケット
◆シェイプされたスリムな心と身体。そう、欲は出さずに、自分に出来ることだけをする、大切だね。

◆公式HP→



アメリカ音楽の後継:Robert Walter

at 2001 05/16 18:54

◆アメリカがいい感じになってきてる。マリアマルダ―が新譜を出したと思ったら、今度はギルバートオサリバンだとか。土の匂いのする音楽家たちの再評価が始まってきているのだろうな。「本当にアメリカの心をもった歌」たちをアメリカ人たちが残したいと思い始めたのかもしれない。そして若いアーティストまでもが「アメリカの歌」を歌い始めている。

◆ひと括りにJamバンドといわれがちだが、若い彼らの音楽性は全くさまざまだ。ブルースやセカンドラインをグルーヴィーに演じるGalactic、ブルージーなジャズを現代によみがえらせたSoulive、セカンドラインジャズを90年代によみがえらせた21世紀のサッチモ・Kermit Ruffinsを含むReBirth Brass Bandの面々、そしてこのRobert Walterもその一人だろう。

◆Galacticのリーダー&ドラマーのStanton Mooreの参加で脚光を浴びているRobert WalterのニューアルバムMoney Shotはとても古臭いアルバムである。ジャケットの低コストなデザインからも想起できる土の匂いのする如何にも土着的なメロディラインに熱くねちっこいリズムが絡んでくる。Galacticほど切れはよくないが、その分粘り気がある。特にRobertのオルガン/キ―ボードは身体に絡みついてきそうな感じだ。まるで蛇。。。ミシシッピー川には蛇はいるのだろうか? やはりイメージはナマズ(Catfish)だなぁ。。。

◆ここでちょっと彼の紹介を;

Robert Walterは現在30歳のjazz-funkプレーヤーだ。彼はthe Greyboy Allstarsのオルガン/ピアニストとして5年間北アメリカとヨーロッパを渡り歩いた経験を持つ。またFred Wesley Melvin Sparks Andy Bey and Reuben WilsonらjazzやFunk界の巨匠らとレコーディングを重ねたり、1998の映画Zero Effectのサントラを手がけたりもした。そして1996年にsaxの巨匠Gary Bartzをフューチャーして初ソロアルバムSpirit of '70を発表、その2年後にはRobert Walter's 20th CongressをSan Diegoで結成することに。メンバーにはアルトサックスにCochemea Gastelum、ベースにChris StillwellドラムにGeorge SluppickそしてコンガやパーカッションにChuck Padraを迎えている。そしてオリジナル曲やGrayboyの曲を引っさげてUSAやカナダでのツアーをこなした後、初のフルアルバムMoney ShotをFog City Recordsよりリリースした。(Ann Wickstrom、翻訳&補遺:Gojoh)

あぁ辛かった(笑)。やはり翻訳家にはなれないね。まぁそんなかんじである。

◆ジャズファンクというよりもぼくとしては、ニューオリンズ的土着っぽさといい、ブルージーなオルガンといい、グルーヴィなリズムといい、まさにR&Bインストルメンタルという感触なんだが、このジャンル、まだまだジャンルとして認識されていないので呼ばれ方は多種多様を極めそうだ。

◆そんなことよりも、広大でうっそうとした北アメリカ大陸より生まれたJazz、ブルース等のテイストを現在に再現していこうという若いミュージシャンがこんなに沢山、それもハイクオリティで出てくるのはとてもうれしいことだと思う。

◆Walterの公式HPは→。試聴はCDナウへ。

情念を感じる歌声:ACO

at 2001 05/17 14:06

◆角川ホラー小説大賞受賞作家・岩井志麻子の戦慄的デビュー短篇集「ぼっけえ、きょうてえ」に『あまぞわい』という中篇が抄録されている。瀬戸内の小島の猟師たちが恐れるあまぞわいという浅瀬(ぞわい)にまつわる言い伝えに絡む物語なのだが、その言い伝えが2タイプあることが鍵となっている。

◆1つは惚れた漁師の旦那を助けるために海に身を投げた海女の伝説、「女は惚れた男のためならなんでもする」と締めくくられる。そしてもう1つは尼寺から駆け落ちまがいに尼を妻にしたものの、早々に飽きてしまい、海に捨て去ってしまう漁師の話、「男はどんなに惚れた女でも、一旦飽きたら、海の藻屑にしてしまってもかまわないものだ」という言われ方をする。女の執念深さ、男の身勝手さのコントラストを描く秀作なのだが、男の身からするとつくづく女の情念が恐くなる時がある。たとえ女が同じことをしても、自分が気があるときはその行動が愛らしく思え、賞賛の的にし助長させるのだが、そうでないときには戦慄が走り、逃げ出す理由にする。本当に男というものは身勝手なものなのであろう。

◆ぼくはACOが好きだ。ACOが魅力的に感じるから、彼女の歌に篭められた愛情・情念・怨念がとても心地よく感じ、「こんな女が惚れてくれたらいいなぁ」と思ってしまう。しかし、これが興味のない相手だったら。。。

◆ACOに対してはぼくはかなり後発で、はじめて知ったのはドラゴンアッシュのコーラスで、そしてオリジナルを聴いたのもスマッシュヒット「愛したあなたは強い人」という感じ。いわばCoccoやCocoやAkkoやAikoや色々いて、よくわからなかったのだ(汗)。数作のヒットシングルを経て、満を持して発表された4thアルバムabsolute ego。そのジャケットを見てもわかる様にとても重いアルバムだ。このアルバムでの彼女の魅力は、血や子宮や如来やメデュウサや。。。女の「神話」的隠喩となるものをことごとく想起させるジャケットと歌詞、そして音もなく忍び寄ってきて絡みつくような蟲惑的なボーカル。そういう「中島みゆき」的な魅力と、サトシトミイエや砂原良徳、降谷建志らをフューチャーしていることでも明らかだが、クラブ系・ヒップホップ系の「踊れる」サウンドを構築しているというギャップではなかろうか(いやギャップというにはあまりにキレイに嵌りすぎているのだが)

◆彼女の声はとても澄んでいて滑らかで優しい。しかし、とても力強く、とても意志が明確だ。同じように女の情念をクラブ系サウンドで歌う歌手にCharaがいる。しかしCharaのように心を癒してくれることは絶対ない。また、力強いといってもUAのようにジャンヌダルク的な男勝りを感じることもない。ただ、自分の愛するモノを守るための力強さなのである。この力は母性といっても大きな間違いはないだろう。

◆そんな母性的情念を、クールでグルーヴ感のあるサウンドの中に綴じ込んでしまうACOの歌唱力にうならせられる。普通、こういうサウンドの中では、女性ボーカルは無機質になりがちで、いくら熱唱しても、耳に心地よいメロディとして聞き流されてしまうものであろう。しかしACOの歌はそのメッセージを明確にオーディエンスの心に突き刺してしまう。

「愛して」という言葉で相手を(包むのではなく)突き刺してしまうACOの歌に、女の恐さを感じるのはぼくだけではないだろう。

◆おなじく「ぼっけえ、きょうてえ」の中に、堕胎専門の助産婦が出てくる。自分と愛する男が暮らすためなら、他人の腹の中をまさぐり、生まれ出ようとした命を足で踏み潰し、二人が食べていくためにわが子をも川に流す鬼婆。しかし彼女も情愛にがんじがらめになった哀しい女の性なのかもしれない。

◆この話題に他意はないし、ACOに対し悪意もない。むしろ応援している。公式ページは→


31歳になりました:ムーンライダース

at 2001 05/21 13:37

◆おお、31歳になってしまったぞ。30歳というと20代の続き気分でやってこれたが、31になるとさすがに30代であることを認めざるを得ない。

◆30になる前に、時代に名を残して散っていきたいと思った10代の自分に謝ろう、マークボランにはなれなかったよ。

◆20代のように情熱や愛情だけでやっていくことももはや出来ない、若いからと許される事もない。また、40代以上のようにベテランでもないし地位や名誉もない。あぁなんて中途半端な30代。ぶつかっていくにも姑息に逃げる事も出来ない年代としての生き方ってどうすればイイのだろうか?

◆30を越えたヤツラを信じるなよ、フーちゃんは言う。信じてはもらえない歳になったのかもしれない。でも信じられたい、だから誠実でありたい。
◆しかし、、、あぁ誠実という事のなんと難しい事か!! 開き直れるほど大人でもないのに、誠実でいられない程度には慾も絡みも保身もあるのが今のぼくだろう、半端モノだよな。しかし君だけには誠実でありたい。

Don't Trust Over Thirty by ムーンライダース

ムーンライダースネット

王者の条件:The Smiths

at 2001 05/23 14:00

「ロックの王者はみな同じ特徴を持っている。それは声がとても個性的だということだ」佐野元春が言っていた。たしかにプレスリー、レノン、モリソン、ボラン。。。いい声なのかどうかは別としてみなその声にとても印象のあるアーティストだ。声はカリスマの条件なのかもしれない。

◆人を惹き付けて離さないカリスマアーティストにはもう1つ条件がある、自己陶酔が酷く感情的で他人を省みない事だ。基本的に人前に出る仕事を選ぶ人間は自己陶酔が激しいと思って間違いではないが、彼ら(KingOfRock'n'Roll)は尋常ではない。自分が歌えば世界を平和に出来るなんて、レノンは自分を神だと間違えたのだろうか? 

「みんなぼくのショーツでオナニーをしたがるんだ」なんて本気で語るモリシーこそ、自己陶酔の極致だが、事実彼の使用済みパンツを欲しがったゲイが後を絶えなかったとか。恐い世の中だ。

◆そんなMorriseyの声もとても変わっている。中途半端なオペラ発声、のどを大きく広げて、舌根を微妙に緊張させているような、とてもPOPではない声で、優雅に歌う。その優雅さがとても毒を持っていて、気分が悪くなりから不思議だ。8ビート程度ののんびりした牧歌的なテンポで、少年コーラスをバックにとてもおおらかに歌うモリシー。しかしその内容が「ディスコを焼き払え、DJをつるし上げろ」(Panic)だから人が悪い。まるで「雨に唄えば」を唄いながら浮浪者を蹴り殺す若者の様だ。胸糞悪い。しかしそこが魅力なんだろうな。その胸糞悪さを再び感じたくなってしまう。

The Smithsの曲は大まかに2タイプに分かれる。前述のおおらかだが悪意に満ちた曲(Panic、Is It Really So Strange?、Sheila Take a Bow 等)、こちらは音楽性よりもメッセージとパフォーマンスに重点がおかれている。もう1つは、Johnny Marrのギターが狂おしく鳴り響く刹那的でセンチメンタルなメロディに、どうしようもなく個人的で内省的な歌詞が合わさった恋歌(London、Girl Afraid等)。後者の方がいわゆるマンチェスターサウンドらしい。

◆NEW ORDERや808STATE、THE STONE ROSES等80年代後期に世界に吹き荒れたマンチェスターサウンドの波、その中心的グループとして世界中の若者やゲイピープル、労働階級をとりこにしたスミス。その内省的で過激なメッセージと陶酔させるセックスアピールはまさに、サッチャー&レーガン政権という警察国家的政権下の鬱屈した人々のカタルシスを昇華させるのに充分だったのだろう。

◆Marrのギターテク以外に音楽的にはさほど大したことのないグループだったが、人々の魂を酔わせるだけのものは持っていた。それが王者の資質であり、カリスマ的アーティストの条件に合っていたのだろう。

◆近頃、モリシーて聞かないね、どうしてるんだろう? 写真はアメリカ版シングルベストのLouder than Bombs。公式ではないがHPを紹介しておく→A Smiths And Morrissey Websitemorrissey-solo。もう42歳なんだ。。。

画家の契約:Michael Nyman

at 2001 05/28 14:56



新たな1週間の到来は、驟雨との訣別とともにあった。
心変わりの激しい五月雨の滞在は、その意志とは別に、
土中深くに生のエネルギーを残していた。

中断を余儀なくされていた春の祭典が、
新たな供物を得て、再び饗宴を謳歌する。

芽吹きかけたまま、待つことを余儀なくされた命が、
水を得た魚の様にはしゃぎまわり、
懐中に縮こまり、通りすぎるのを待ち構えていた羽根たちが、
一斉に羽ばたき、矮小な生命の悪戦苦闘を嘲笑する蒼一辺倒の空を埋め尽くす。

生が頭角をあらわす時期と生を謳歌する時期の橋渡し、
その時を彩るのは享楽的に青緑をたたえる管楽の響きに違いない。

狂った様に盛大に、しかし、奥底に言い知れぬほどの悪意を隠したまま鳴り響く、鐵の塊。
そしてその大きな空洞の中に隠匿された悪しき意志を知ってか知らずか、
しなやかに追従する弦のしなり。
そこに艶やかな時代の喜怒哀楽が所狭しと並べられている。

たたえよ、聖なる命
つづけよ、狂った殺戮

全ての悦楽と快楽を形どるために、ナイマンの指揮棒は振り下ろされる
The Draughtsman's Contract

今月のオトシャベリへ、●アーティストリスト


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