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時代の流れ:Art Gerfunkel

at 2001 04/04 15:30

◆暖かいですね、本当にいい天気です。ぽかぽかして眠たくなってきます。こんな日に仕事している自分は、なんてもったいない事をしてるのだろうと思ってしまいます。

◆「とても心地よくって思わず眠ってしまった」と湯川れい子さんがライナーノーツで告白しているアルバム、Art GarfunkelWatermark('77)です。儚くも美しいすぎるとソロ第1作「天使の歌声」(Angel Clare '73)や、アートの男性的セクシーさが垣間見れると評判だった「愛のゆくえ」(Breakaway '75)そして、シングルのヒットとその円熟の美によりガーファンクル復活を人々の目の前に示してくれた「シザーズカット」(Scissors Cut'81)の間にはさまれて、なんとも埋没しがちなこのアルバムと、次の「Fate for Breakfast」('79)でした。当時の評価は、どちらのアルバムも低いんですよね。しかし、僕はこの二枚がとても好きなのです。

◆Watermarkはほとんどの曲がJimmy Webbのもので、「アーサー、ジム"恋はフェニックス"ウェッブを歌う」という体裁のアルバムである。僕がアーサーの数ある名曲の中でももっとも優れた曲だと思っている「Crying In My Sleep」をはじめ、どの曲も穏やかで、優しい佳曲に満ちている。そして、ジム作でない曲である、Sam Cookeのスタンダードナンバー「 (What A) Wonderful World 」も、アートとポール・サイモン、ジェイムス・ティラーの絡みが非常に心地よく、ジャケットに現れているコンセプトである「平穏」「清清しさ」を非常によく形作っている。数数多の「 (What A) Wonderful World 」カバーの中では、このバージョンがピカイチなのではないかと僕自身は思っているくらいだ。

◆そして世の中の流れより5年以上も早くアイルランド民謡に目をつけ、その代表的なバンドChiefftansを取り入れたところなど、脱帽としか言いようがない。

◆また、ポールに触発されたのかStuffのメンツをバックに採用し、ゴスペル風の優しくも力強いサウンドを聞かせてくれている。そのようなことも含め非常にやさしく穏やかで、本当に「眠って」しまいそうなアルバムである。現在のソフトロック再評価の中でも秀逸の作品だ。

◆またFate for Breakfastは、前作の流れからまた1歩踏み出し、エレクトリックサウンドを大胆に取り入れている。Lee Ritenour、Steve Gadd、Rob Mounsey、Stephen Bishopらとのコラボレーションにより、クロスオーバーな魅力を引き出している。いい意味でフュージョンボーカルアルバムに近い作品だ。(このジャケ画像、僕の持っているものとアートのアングルがちょっと違う。。。)

◆しかし、この2作品は、巷では失敗作と言われ、彼の作品の中でも言及されないアルバムである。とても残念だ。

◆それらから考えるとアーサーの巷での評価は、やはりS&Gのイメージから離れる事はなく、「明日にかける橋」等に見られる、幻想的で耽美的で、大いに盛り上がるバラードが待ち望まれていたのだろう。その意味で、彼の音楽はWASPが家族で親しめるポピュラーシンガーであり、当時のファンは音楽的進化より、美しいバラードが聞きたかったのであろう。だから、フュージョンをやったりソフトロックに傾倒しても、ファンのニーズには応えられなかったのであろう。彼はリスナーより一歩先んじてしまったのだ。半歩先んじることは魅力的だが、1歩になると保守的なファンは引いてしまうのが常である。

◆しかしだ。そんなしがらみから全く解き放たれた現在、この2枚は「革新的」でも「冒険的」でもない、安心して聴くことの出来る穏やかで美しいアルバムとなった。大上段にかまえて、否が応でも盛り上げさせられるS&G的バラードよりもこういった「癒し系」(笑)な歌声の方が断然いい。時間の流れって面白いものだと思う。

◆公式サイト→

寂寥酒:Ronnie Lane

at 2001 04/07 03:58

◆何故か分からんが、一人になりたくって彼女を追い返してしまった。友達と電話するから帰れ、なんてすこぶる一方的な浮気の了承を求めるような変な言い草にでさえ、気持ちを汲んで引き下がってくれた彼女。ぼくには出来すぎな娘なのかもしれない。

◆そんな事をしておいて、こんな時間(深夜3時)に寂しくなっているぼくはなんて甘ったれなんだろう。自己嫌悪。。。こんな時はほろ苦いバーボンでも一気に呷って、己の不甲斐なさを洗い流してしまいたい気分だ。

◆楽しい酒、嬉しい酒、悲しい酒、やさしい酒、同じ酒だが酒にも色々ある。それは心の状態で決まってしまうのだろう。そして酒には音楽も付き物なのかもしれない。

◆楽しい酒には楽しい音楽が似合う。たとえばニューオリンズRBのように、演じる側が掛け値なしに楽しそうに演奏している音楽ってのがいい。嬉しい酒には前向きな音楽が似合うだろう。そのアーティストが乗りに乗っている時期のアルバム、ビリージョエルならイノセントマンとかいいね。悲しいときは一緒に悲しんでくれるような泣きの入ったアルバムがいい。さびしく不甲斐ない酒にはどんな音楽が似合うのだろう?

Ronnie Laneをご存知か? イアン・マクレガンのいたSmall Facesやロッド・スチュアート、ロン・ウッドの在籍していたThe Facesの中心メンバーだった男だ。フェイセズ人気絶頂の中、グループを脱退し、Slim Chanceという力強いサポートを率いてソロ活動を展開する。しかしモッズサウンドの中心だったフェイセズ時代とは打って変わった物を作り始めた。マンドリン、フィドル、アコーディオンとまるでカントリーのような楽器をそろえ、旅芸人のようにイギリスのパブからパブへと放浪をはじめた。

◆そんな頃のアルバムがRonnie Lane's Slim Chance('74)だ。穏やかに演奏を楽しんでいる彼の笑顔(ジャケット参照)が見え隠れする一枚。フィドルの音色とギターが非常に枯れた心地よさを見せてくれる名作だ。肩の力を抜いて「あぁこれが俺のやりたかった音楽なんだよ」という満足を噛みしめるような充実感をこのアルバムは見せている。

◆フィドル・マンドリン・アコーディオンというとまるでアメリカンカントリーの荒野のイメージだが、やはりそこは血が違うのだろう。ロニーの音はやはりイギリスの都会の音である。パブの音なのだ。どんなにアコースティックになってもライクーダーやクラプトンのような乾いた旋律ではなく、イングランドやスコットランドの伝統を引き継いだとても湿った音をしている。チャックベリーやドミノのカバーですら自分のモノにして実に楽しそうに歌うロニーだが、その湿った部分が平穏な楽しさを装うこのアルバムの中でどことなく、寂しさを感じさせるところなのかもしれない。

◆また、自分の好きな、本当に納得いく音を作るために、地位も名声もかなぐり捨てたレインだが、そのことに対する一抹のほろ苦さもこのアルバムはかもし出しているのかもしれない。

◆70年代終わり頃、ピートタウンゼント(ex WHO)とのコラボレイトを楽しんだロニーは多発性脳脊椎硬化症のため音楽活動を断念することになる。83年に彼の病気の研究基金のために行われたARMS foundation benefit concertをクラプトンやベック、ページらが行ったことは記憶に残っている。

◆このアルバムを聴きながら、さびしい酒をちびりちびりやっていると、とても心に沁みる。自分に対峙しなくてはならなくなる。やはや、とても酔わずにはいられないアルバムである。

◆公認じゃなさそうだけどFaces Homepageは結構情報にあふれている。

英国POPの良さ:Clive Langer

at 2001 04/09 14:41

◆久しぶりにElvis CostelloPunch The Clockを聴いた。このアルバムは彼の数あるアルバムの中で特に好きな一枚である。

◆なぜ好きなのかというと、Pub Rock、New Waveというコステロの流れの中で、異質なほどポップなのである。前作Imperial Bedroomから柔らかいポップさを見せるようになった彼だったが、今作でそれは研ぎ澄まされ、いかにも英国流(=ちょいとひねくれた)のポップスに仕上がっている。この後、次作Goobye Cluel Worldでの失敗を機に、彼はまたしばらくポップさからは遠ざかってしまう。

◆それまでのアルバムと違ったポップさというのはどこに現われているかというと、ホーンセクションの多用や選曲もあるが、一番感じるのはピアノの使い方である。当然ピアニストはバックバンドThe AttractionsのSteve Nieveなのは従来となんら変わらない。しかし、どの曲でもピアノの音が妙に耳を捉えて離さない。それまでリズムセクションだったNieveのピアノがコステロの声の後ろで自己主張を始めている感じがした。滑らかな高音で転げ回るキーの切れ味が以前とは全然違う。この部分が、このアルバム全体をにぎやかでポップなイメージに作り変えてるといっても過言ではあるまい。

◆さて、そんなポップさの仕掛け人を紹介しよう、プロデューサーClive Langerである。Madnessのプロデュースで有名な彼だが、実にそのプロデュース作品は多岐にわたっている。

 Aztec Camera、David Bowie Mick Jaggerの「Dancing in the Street」、Dexy's Midnight Runners、Hothouse Flowers、Morrisseyのソロアルバム、The Neville Brothers、They Might Be Giants、映画Absolute Beginnersのサントラ、近年ではHigh Fidelityのサントラも彼の仕事だ。

◆そんなクライヴに僕が出会ったのがこのアルバムDeaf SchoolDon't Stop the World ('77) だ。デフスクールってのはリバプールのアート・スクール出身者中心に結成された9人組のモダンポップ・バンド。時代の趨勢がプログレ〜グラムだった頃にPOPを貫いて、後のニューウェイヴに多大な影響を与えた「アートスクールロック」を創造していった。(余談だが、クライヴのアートスクール時代の講師はIan Duryだったとか)残念ながら3枚のアルバムで、その活動を終えてしまったが、その後の彼ら、個々の活動はここに詳細に記されている。

◆さて、そのアルバムだが、The Specialsがもっともっと英国風なポップさを出したって感じかな? まぁPunch the Clockそのまんまなんだけどね(笑)。このアルバムの中ではTAXIって曲がスピード感あるのに妙にセンチメンタルで好きです。TAXIもそうだけど、やはり、バックのピアノやギターのリフがとてもチャーミングで小気味いいのです。各々の楽器が曲に入っていくカッティングがとてもいい。しかし決して乾いた音ではなく潤った感じ。クライブの曲はみんな潤ってます。この潤ったポップさが英国風ポップの良いところでしょうか?

◆英国風ポップスの第一人者のひとり(アンディパートリッジもそうだなぁ)クライヴ、彼の音の魅力は、切れがいい癖に妙にしっとり潤ったリズムセクションの魅力であろうとぼくは感じている。この音はアメリカ人には出せまい(笑)。


情けないエロチカの魅力:ムーンライダース

at 2001 04/11 15:04

◆日本で現役で活躍しているバンドの中で、もっともぼくの心を捉えて話さないのは月光騎士団、つまりムーンライダースだ。
◆彼らの魅力はさまざまある、がそのメンバーそれぞれの能力に負うところが大きい。当たり前のことのようだが、メンバーが全員、自分のやりたい事を十二分に出して活躍しており、且つ、バンドイメージが分断されていない集団も珍しいのではないだろうか? それが日本で最も古いバンド('75年結成)である事の所以でもあろう。

◆鈴木慶一はオジさん臭い。妙に弱くてわびしいのに妙に色っぽい。岡田徹のだみ声は妙にホンワカしていて味がある。くじらこと武川雅寛さんは演劇等の別活動がもっとも盛んだけどそのバイオリンは彼らのエキゾチックな音楽に欠かせない。白井良明のアバンギャルドさは、ともすればマッタリしてしまうライダースのアルバムを引き締めてくれている。かしぶち哲郎さんのエロティカルで大時代的な音と声はライダースのもっとも陰な部分であろう。ラマンとかリラとかアムールという単語を口にして許されるアーティストはあまりいない。ふーちゃんこと鈴木博文さんの誠実な歌声は、ぼく等の心に響いてくる

◆ぼくがもっとも惹かれるのは慶一さんの歌声、こんなに情けなくて切ない歌を白髪混じりになってまで唄われること自体が心に染み入ってしまう


ぼくは君のハンカチーフ
涙をふくために 生きている
Woo 気にすることはない

ぼくは君のアンダーウェア 
いつでも脱ぎすてるためにいる 
Woo 気にすることはない

---涙は悲しさだけで、出来てるんじゃない




すてきな人の家のまわり ウロウロするリアリティー
それが 恋 恋 でも心は とてもロンリー

僕は蝿になって君の 家のまわりグルグルまわる
僕は蝿になって君の まわりグルグルまわる

---僕はスーパーフライ





男の弱さをここまでむき出されると、うなづいてしまう。あぁだからアンタはさえ子ちゃんに逃げられたのかな? 徳利片手に一緒に傷を舐め合いたくなる。



娘から噂を聞いた 世の中は魔物だらけ
息子たちは話もしない 家の中は静かすぎる

幸せな家庭は?
やさしさの答えは?
会社までの距離や
食事の中にある

目の前にある 静けさにある

テーブルに肘をついて眠る 疑問符にそっと毛布掛ける
質問は山ほどあるのに この家は静かすぎる


---犬の帰宅



一番目の息子は 部屋に鍵をかけて
鏡の前で ピンクに髪を染める
二番目の娘は 部屋に靴を持ち込み
夜になると 窓から外に這い出す

ぼくはなぐられても
なぐりかえしはしない
目が見えなくなっても
愛にこだわり続け
おまえたちを残して
ぼくは先に逝けない

---Who's gonna die first?



下はふーちゃんの曲だけど、息子や娘の心配をするポップスが作れるのってこの人たちだけじゃない? 彼らは高齢化社会の旗手なのかもしれない

◆最初に手にしたのはアマチュアアカデミー('84)、教授の番組で知った。イニシャルのような謎めいた曲名(YBJ、30、B TO F等)と機械的な精密さを持つくせに妙にエロチックな歌達。ぼくはいっぺんに夢中になった。

◆70年代のフランス映画オタクみたいなエキゾチックな曲たち、日本のニューウェイヴを先駆け、実践してきた革新的な80年代、落ち着いてオジさんとして開き直ってポップスを謳歌している黄金の90年代、どれもエロチックです。エロといってもチョコボールのような力を誇示するエロではなく、男のやせ我慢でエロいことを我慢して、家でひっそり「おれってバカだなぁ」というもどかしさを持つ、そんな情けないエロなんですな。

◆いやーマジで情けない、だから好きなんだろうな、気持ちがわかってしまって。

◆あまり多くは語れないや。また別の機会に続編を。。。

◆公式HP→ムーンライダース・ネット

日本的FUNKの成功:角松敏生

at 2001 04/13 14:04

◆近頃、みょーに暇だ。今の仕事は編集の企画に合わせてスケジュールを組み、発売までの進行を管理するという完全受注産業なのだが2、3月に新企画が少なかったせいで仕事がない。そして新人が入るわけでもないので飲み会の予定があるわけでもない。そもそも昼飯ですら人とつるんで出かける雰囲気は皆無なので、基本的に会社で呑むのは上司に付き合う時くらいだ。また何故か今月は金欠なので、遊びに行くわけにもいかない。。。
◆そんな時はどうしても手持ちの札しか切れないわけで、昔聴いていたCDを改めて聴きなおしたりしている。すると、意外と今でも心ときめくものが多いのに気づく。。。今回のテーマもそんな再発見ものだ。

◆以前Cherrelleの時に、彼女を教えてくれたのは角松敏生のラジオプログラムだったという話をしたと思う。ぼくが彼の音楽と初めてであったのは中学の時、ちょうど12inchシングルのブームでサンプリングしたりラップを絡めたりというのがカッコいい風潮だった。日曜日に聴くともなくラジオをつけていると、突然流れてきたTokyoTowerがとても僕の心を惹きつけた。チョッパーベースとラップの絡みが刺激的で黒人の音楽のようだった。頭の中にはNYの都会的ライブハウスで一流ミュージシャンがジャムっているようなイメージだった。しかし、その後聞こえて来たのは日本人の歌声、しかも妙に神経質っぽくて、それでいて気障な色気のある男の声だった。そしてその後すぐ、その声が先ほどからDJとして下品な声でしゃべり続けていた男の歌だと知る。角松敏生、彼との出会いだった。彼のしゃべりはとても闊達で面白く下品だった。今のスガシカオのラジオショーにちょっと似てるな、二人とも下品でスケベなんだが、妙に色気があっていい。

◆デビュー当初の夏のイメージと、中山美穂への提供曲(わすれた)のヒットでバラードの上手いアーティストのように語られている角松(たしかにT's Balladなんてアルバムも出してたし)だが、彼の良さはFUNKっぽさだと思う。声量があるわけではないので、その歌声はどうやっても、バックの演奏に負けてしまうし、気障過ぎるところが鼻につく嫌いもある。しかし、そこが彼の個性なのだろう。黒人FUNKに負けじと喉を振り絞って歌うなんてせず、歌がメインなのだが聴いてほしいのは歌じゃなくて曲全体だ、という見せ方をしていく。ベースもラップもホーンもコーラスも充分に見せていく。そのゴージャスな音作りのど真ん中に、派手なスーツで座ってすべてをコントロールしていく。軟弱な男がゴージャスなFUNKを作っていく方法を彼は教えてくれる。

◆日本のFUNKアーティストというと久保田利伸がまず浮かぶ人が多いだろう。角松とは世代も近い。久保田と角松の違いは、久保田が(音楽的&肉体的に)あくまでも黒人に近づこうとしているのに対し、角松はあくまでも日本人としてFUNKを演出していることだ。ちょうどデビッド・バーンやアート・リンゼイが白人としてFUNKを作ろうとしているのと似ている(とすると久保田はアベレージホワイトバンドなのかもしれない)。

◆それが如実に出ているのがメロディだろう。久保田は日本人の大切にするメロディをもはや捨ててしまっている。しかし、日本人としてFUNKをする角松はメロディを絶対手放さない。洋楽のビートはサビ以外はメロディを否定しているものが多いが(そうしないと甘ったるくなる危険性がある)、角松は日本人として、いくら甘くなろうと旋律を明確にしている。

◆しかし角松の音は黒人のFUNKに負けないくらいにカッコいい。ダンスクラシックを好む日本人なら必ず好きになる音だろう。ダンス★マンと同じで「おれ、ダンクラ好きなんだよ」ってのが凄くよく伝わる。つまり「愛」がある。そして彼の音は間がいい。ここでプラスが入れば気持ちいい、という処で必ず、1テンポも遅れることなくブラスがはいってくる、そんな間の良さだ。しかしそれは消して予定調和なだけではなく、裏切られることも多い。
たとえばTokyoTowerだったらrapからリズムがはいってきて、シンセとチョッパー、ここまでは予定通りで気持ちいい、しかし、ここで歌の前にベースのソロが入ってくるとは思わなかった。しかしそのフェイントが刺激的で、しかもベースの弾け方がFunkyで耳を離さない。万事こんな調子だ。

◆「Take You To The Sky High」でリゾートイメージだった彼が12inch志向になって、「初恋 hatsu koi」で明確なダンス路線を歩む。アルバム「Afer5Clash」「Gold Digger」「TouchGo」と東京的メロディアスFUNKの先駆者となり、その後バラード路線へ移っていく。彼のバラードは確かに綺麗だ。だって天性のメロディメーカーなのだから。しかし、そんなお家芸とFUNKという挑戦が上手くマッチしたこの時代の音が一番カッコいい角松を見せてくれていると思う。

◆画像はTokyoTower収録のアルバムGold Digger、腹立たしいほど気障なジャケットだ。公式サイトは→

うらやましい限りです:Serge Gainsbourg

at 2001 04/16 11:55

◆男女関係の中に友情が成立するか、そんな青臭い討論が交わされることがある。僕は成立する、という意見、というか経験の持ち主なのだが、それは互いがディスセクシャルな関係、つまり相手の容姿やジェンダーに興味はもてない、という状態であるが、相手の考え方や性格に興味が持てたり、共犯意識が芽生えたりした場合に起こる。僕には数人、女としては興味がないが、話し相手としてとても楽しく、また、心から相手を大切に思える相手がいる。こういう関係はとても好きだと思うので、ずっと大事にしていきたい。

◆それとは別に、女性と認識していても友達としていたい相手もいるわけである。その場合は大抵、女性としての魅力もとてもあるが、ディスセクシャルな魅力もとても持っている相手に対して起こる。

◆相手を女性としてしか見れない場合、男女関係や肉体関係というものに発展しがちだ。しかしそうなると、恋人として上手くいくか、振られてだめになる、という選択肢しかなくなる。100か0か、一か八かの選択である。

◆人としてのお付き合いもしていきたい場合、100はOKだが0は絶対避けたいわけで、そうすると「好きだなぁ」という感想だけ持っておいて、何も行動に起こさない50%の関係が、もっとも卑怯だが最も妥当であり、自分の欲求に一番近くなる。自分に恋人がいて別れたくない場合や、どうあがいても相手に認めてもらえない場合、あるいは、魅力的だが、付き合った場合上手くいかなさそうな場合に最も有効だ。

◆そういう距離感ってのが最も支えにくい距離であり、ちょっとでもバランスを崩してしまうと無に帰してしまう。恋人と依りを戻すことよりむづかしい場合が多い。恋人と違って決定打「だって好きなんだもん」が通じないからだ(笑)。

◆そんなこんなで魅力的な女性は多い。なのにひとりしか選べないなんて神様の意地悪。。。こうなったら王様になるしかないのに日本には王制がないときた、大変だなぁ。。。Serge Gainsbourgがうらやましいな。

◆「人生はラブ・セックス・ロックンロールだ」なんて50過ぎても言い放てたSergeオヤジの凄いところは、そのまんま人生だったことだろう。シャンソンとJAZZしかなかったフランスにPOPSを根付け、さらには80年代初めにはすでにラップまで取り入れ、フランスの大衆音楽を引っ張り続けた男。セルジュ、Boris Vian以上に重要なパリジャンだ。

◆しかし、実は音楽的にはセルジュ自身の音はあまり得意ではない。アルバムもあまり持ってない。僕的にはセルジュの凄いところは、プロデューサー&コンポーザーなところだと思う。このアルバム「ゲンスブールを歌う女たちVersions Femmes」を聴くと彼の凄さがわかる。70年代の初めにしてすでにNewWaveの芽を持ち、アメリカのPOPSに決して負けないPOPを作っていた。まぁどんな音か分からない人はバネッサ・パラディを聴くといいだろう。このアルバムの曲目は以下のとおり:

    1 無造作紳士 /Jane Birkin
    2 手ぎれ /Jo Lemaire
    3 ぬかるみ /Petula Clark
    4 プチ・パピエ/Regine
    5 太陽の真下で /Anna Karina
    6 ラ・ジャバネーズ /Juliette Greco
    7 ブラッディ・ジャック /Zizi Jeanmaire
    8 さよならを教えて /Francoise Hardy
    9 夢見るシャンソン人形 /Michel Berger /France Gall
    10 ヘリコプター /Mireille Darc
    11 神様はハバナタバコが大好き /Catherine Deneuve
    12 ルル/Bamboo
    13 プレベールに捧ぐ/Claire D'Asta
    14 マリン・ブルーの瞳 /Isabelle Adjani
    15 ハーレイ・ダビッドソン /Brigitte Bardot
    16 虹の彼方 /Serge Gainsbourg /Jane Birkin
    17 ホワイト・アンド・ブラック・ブルース /Joelle Ursull
    18 レモン・インセスト/Charlotte Gainsbourg
    19 タンデム /Vanessa Paradis


◆個々のアーティストの説明は省くがどれも魅力的なものばかり。個人的には中学のときに聴きまくったフランソワーズ・アルディとイザベラ・アジャーニは涙モノです。アルバムを通して聴いてみてわかるのは実に個性的な曲が多いこと。それもセルジュの個性ではなく、各シンガーの個性に合わせた曲が多いということだ。

◆例えばJamLewisでも小室哲哉でも大瀧詠一でもトッド・ラングレンでもいい。彼らは素晴らしいアーティストだと思う。そして彼らがプロデュースしたアルバムはどれも素晴らしい。しかし、それは彼らの一貫した音楽性が結集された素晴らしさで、つまりはシンガーが誰であっても彼らプロデューサーのアルバムなのである。Jam&Lewisの曲は、1聴でJam&Lewisだとわかる。小室もそうだ。大瀧師匠なんて大瀧師匠でしかありえない、そのアーティストが師匠の曲に耐えられるキャラかどうかで完成度が決まるようなものだ。

◆しかし、セルジュは違う。自分の個性なんて関係ないのだ。この女(シンガー)の良さを充分に引き出せる音楽は何だろうという考え方なんだろう。つまりイイ女にはイイ曲、可愛い娘には可愛い曲、それがRockでもPOPSでもシャンソンでもおかまいなし、その女(シンガー)の魅力がもっとも引き立つ曲であればイイという曲作りをしている。わが娘でさえ、そのロリータ性が魅力だと思えば、その様な曲でイメージを仕上げてしまう。それでいてカッコよくPOPSを進化させられる。引出しがとても多い男なんだろう。モテる男は引出しが多くて、ケースバイケースで相手を満足させられるヤツか、強烈な一個の個性で相手の女を陶酔させてに追いかけさせるヤツかのどちらかだろう。彼は前者のタイプではなかっただろうか?

◆音楽映画等の女性が好む方法で、その女性のすばらしさを引き出すことの出来るセルジュオヤジに、ちょっとジェラシーを感じるものです。そしてさまざまな女性に敬愛と感謝の念をもたれたまま逝去できたこのオヤジ。。。すっごくジェラシー感じます。。。おれも才能がほしいものだ。

◆セルジュ・ゲンスブールのHP、ここが一番くわしいかなぁ

信頼と尊敬:WomackWomack

at 2001 04/18 20:53

◆すでに結婚生活に失敗しているぼくが結婚についてとやかく言うことは間違っている事かもしれない。でも自分の間違いだけはわかっているつもりだ。

◆夫婦は恋人とは違う。恋人同志ってのは相手のほうを見ていたい。でも夫婦が相手ばかり見ていたら生活が立ち行かなくなるだろう。夫婦は同じ方向を見て一緒に歩いていける伴侶であるべきだと思っている。つまりパートナーだ。

◆何も出来ないけれど可愛いい彼女ってのは見ていたり一緒に遊んでいるうちはとても楽しい。でもそれはパートナーとして互いに尊重しあったり、信頼しあったりして歩んでいくためにはちょっと重すぎるだろう。人として物理的に信頼できない相手をパートナーとするのは仕事でもとても負荷が多い。家庭でも同じだ。それができるくらいどちらかの精神年齢が高ければ、それはそれで、恋人気分で一生を遅れるかもしれないが、歳が近ければそうもたちいかないだろう。

◆ぼくの失敗は彼女を人として信頼/尊敬できなかったことが遠因。それに対して面と向かって「信頼できないから出来る様になれ」と、一方的に突きつけてしまったのが直接の原因。つまりぼくは同い年の彼女にパートナーを求めていたのであって、彼女は庇護者を求めていた。そして彼女が精神的に自立できるようになるのを待てなかったぼくが、逆に威圧的になってしまったおかげで彼女の成長を萎縮させてしまったことが崩壊の原因だろう。つまりぼくは友達にも教師にもなれなかった。なれなかったのに一方的に自分の理論を押しつけていた。そして彼女も押しつけられたものを真正面から受け止め苦悩した事だろう。

◆今の恋人は、若いくせに何故か老成している(笑)。ぼくの押し付けをかわしやがる。憎たらしくなるほど、上手くかわすのでぼくはぐうの音も出なくなる。このまま上手くいけばいいな。彼女を人として信頼し尊敬できている今が嬉しい。

◆生活のパートナーと同じ夢を持てるってのはとても幸運なことだろう。WomackWomackの夫婦デュオの音を聴いているととても満ち足りた感情が湧いてくる。

◆黒人夫婦のCecilとLindaの音楽活動は長く、そのデュオワーク以前から栄光に輝いている。Cecilはサムクックとツアーを共にしていたウーマックブラザーズ(ヴァレンティノズ)のメンバーだったし、Lindaはそのクックの娘だ。二人はソングライターチームとしてテディペンタグラス・アリーサフランクリン・ウイルソンピケットらをフォローしていた。日本で言えば山下達郎と竹内まりやのデュオみたいなものだろう(笑)。

◆正直言って彼ら自身のアルバムは甘い。黒人にしてはとてもフォーキーで、その歌唱力をイマイチ生かしきれてないように思える。しかし、その音楽への気持ちは伝わってくる。しっかり耳から、敬意と愛情と信頼が。それがとても気持ち良くって思わず、リピートで聴いてしまう。一曲一曲は心に残りはしないが、満足感が残る。

◆それはたぶん、互いに相手に対して、言い知れないくらいの信頼と尊敬を持っているからだろう。3枚目のアルバムConscienceのジャケットの幸せそうな顔を見ているだけで夫婦の絆がしっかり伝わってくる。彼らのアルバムはどれも信頼と尊敬という絆によって出来あがっている。アメリカの夫婦アーティストモノでは珍しいくらいだ。

◆こんな風に夫婦で1歩1歩、手を取り合って歩いていけるなんてとても素敵なことだと思う。あやかりたいあやかりたい。。。

今回はマニアック過ぎかも!!:Tot Taylor

at 2001 04/18 20:52

◆レノン&マッカートニー、アナタはどっち派? そんな話題は昔っから良くありますよね。ロックの音楽技法として大衆音楽に多大なる影響を与えたポールと、音楽にとらわれず、ロックを生き方にまで昇華したレノン。どちらもとても偉大なアーティストだと思います。

◆自分は基本的にレノン好きなのです。生き方も、人の愛し方も、声も、メロディもジョンから学んだものはかなり多いかと思います(そこらへんもダメ人間の原因かも。。。)。ビートルズ〜ソロを含めてジョンの方がはるかに好きです。しかし、イチ時期だけとてもポールの方が明らかにスゴイ時期があります。それはラバーソウル〜リボルバーの時期。この時代のマッカートニーの音って英国式ポップスの基本になったようですね。

◆室内楽的アレンジと妙にひん曲がったメロディ、以前XTCの欄で彼らの音楽をエリナーリグビーだと言ってしまいましたが、この頃のマッカートニーの音楽作りを追求して行くと、本当にイギリスのマイナーレーベルやクレプスキュールやエルのようになっていくのだと思う。そう言う意味で、レノンの方がコアなファンが多い気がしますが、実はフォロワーアーティストはマッカートニーの方がコアな世界を作っている様ですね。

Tot Taylorもそんなマッカートニーの子供だと言いきってしまうと本人は怒るのだろうか? 何処にでもいそうなこの名前のアーティストも「ポップの職人」とか「ポップの魔術師」という言い方がピッタリの人だ。誤解を承知で、どんな音かと言うと

  ヴァン・ダイク・パークスがサイモンフィリップにプロデュースさせたような音

あるいは

  男性化したコシミハルがアンディパートリッジの真似をした音


わかるかなぁ(笑)。

◆トットのプロフィールは、後で紹介するHPを参照していただきたいのですが、A Special Momentというバンドで活躍後、ピチカートの小西君も会員だったというレーベル「コンパクトオーガニゼーション」の主催者としてマリ・ウィルソン、サウンド・バリア、ヴァーナ・リント、シールなどのプロデュース、アート・ディレクションと曲作りをしていたけど、その間に出したソロは評価は高いも営業的には既存の流通を通さなかったためか、泣かず飛ばず。その後はロンドン・ポピュラー・アーティストやSOUNDCAKEというレーベルで活動、現在、彼のアルバムを入手できるのはPOPPY MUSICでの通販のみ(日本では店頭販売してます)という、徹底的な反流通業界アーティストとなっております。こういう頑固な職人気質って、日本人は弱いんですよね。日本でもっとも人気があるらしく、日本のCM音楽なんかでも活躍してるらしいです。

◆さて、今回ピックアップしたアルバムは彼の第3作、86年発表のBox Office Poison(画像左)、同年にそれ以前のリリースをまとめたベスト盤Jumble Soul(右)もリリースしているのでノリに乗っていた頃だろう。全編オーケストラを起用し、貴族的で甘い音楽を作り上げている。フレンチホーンと4重奏の上にファズギターをかけてウォンウォンいわせることが出来るのはこの人だけではないだろうか?(笑)。そういっても決して大上段にかまえた音なのではなく、むしろ小粒で室内的な音である。ミニマルミュージックに歌がついた感じかな。ちょっと耽美入っております。

◆また、江口寿史が作品「ThisIsRock」の中で取り上げていたベスト盤Jumble Soulの方を聴くと、Box〜以前の作品は、オーケストレイションというよりもむしろジャジーな感じ。POPという意味ではこっちの方が似合っていて、まるでおもちゃ箱をひろげたみたいな旋律とアレンジが繰り広げられている。現代のボリスヴィアン、そんな感じがします。

◆トッド・ラングレンやXTCやヴァンダイクパークスや立花ハジメや水族館レーベルが好きな人には是非体験していただきたい音だと思う。

◆非公式HP→、ここから公式HPであるPOPPY RECORD COMへも行けます。公式・非公式どちらもかなりページとして面白いデザインなので是非見てみてください。

マニアになるわけ:Stewart&Gaskin

at 2001 04/18 20:51

◆近頃、このページのセレクトがマニアックになり過ぎてる。クライヴランガーやトットテイラー、ウーマック&ウーマック、ゲンスブール、全くレスポンスがないですな(笑)。大体、こういうアーティストを頻繁に聴いていたのは高校の頃が中心だった。

◆ぼくはどうも趣味の近い友人が少なかった。ウマの合うやつってのは大抵、社交的なやつが多く、酒や競馬やオンナが話題の中心、で趣味が合うやつはどうも人間的に好きになれない。そうなると、趣味の時間=引きこもりになりがちだった。音楽や映画、読書などの情報や趣向を共有できる人間がいないと、人は同好の士をメディアに求めるわけで、ぼくもFMラジオは一日中つけっぱなしだったし、ミュージックマガジンやロッキンオンを毎月買っていた。

◆そのうち、ラジオパーソナリティや評論家の中で自分の好みと近い人間が出てくると、半ばその人の信者的になり、その人が褒めていただけで、聴いてもいないアーティストのレコードを買う羽目に。。。みなさん、同様な体験はありませんか?(笑)

◆ぼくの場合、POPSのそれはピーターバラカンだった。妙に達者な日本語と、ブロードキャスターという肩書きがピッタリな位の幅広い音楽知識。コステロもライクーダーもトッドもデッドもジミースミスもみんな彼から仕入れたものだった(黒人モノに関しては鈴木啓二さん、読書に関しては柴田元幸と風間賢二でした)。

Dave Stewart/Barbara Gaskinもピーターから知ったんじゃなかったっけな? エッグ〜ハットフィールド&ザ・ノース〜ナショナルヘルスなどのバンド活動や、プロデューサー/アーティストとして、ロンドンで活躍していたデイヴ(ユーリーズミックスのスチュアートとは別人)はソフトマシーンやビル・ブラフォードらとの親交からも分かるように、グラムロック中心の70年代後半にあって、知的でプログレッシヴなサウンドクリエーターとして、趣味人受けしていたアーティストだった。

◆彼がソロプロジェクトをはじめ、レーベルを設立する一環として、上記のハットフィールドやスパイロジャイラ(フォークプログレバンドであってフュージョンのではない)、ナショナルヘルスでボーカル活動をしていたバーバラをボーカリストに起用したことからこのユニットは出来たという。他のボーカリストでもシングルを出しているので、よっぽど相性が良かったのだろう。81年にIt's my Party(レスリーゴアのヒットソング)のカバーでデビューし、それ以降A面カバー、B面オリジナルというスタンスでシングルを発表していった。

◆初めてアルバムが出たのがアメリカでの編集盤が86年、そしてこのアルバムThe Singlesが出たのが87年、日本編集のシングル集なので、結局彼らは5年以上も活躍していてもアルバムを出さなかったことになる。なんとも不思議なユニットだった。

◆内容に入ると6枚のシングルのA/B面を収録しているだけなのだが、A面の方のラインナップがすごい。前述のレスリーゴアのものやホーランド/ドジャー/ホーランドの往年のモータウンヒットやペギーリーの曲、何故かトーマスドルビーの曲まで入っているのだが、どれも清清しいエレポップに仕上がっていて、違和感がない。バーバラの声もとても澄んでいて実に気持ちのいい楽曲になっている。そしてB面集のオリジナルだが、こちらも負けじとクオリティの高い楽曲そろいなのだが、プログレッシブな面が見え隠れする分、旋律に派手さがなく、A面の往年のヒット集にはちょっと太刀打ちできかねる感じだ。しかしクオリティの高さは保証できる。

◆しかし驚いたのは彼らが今年来日すること。このアルバム以降忘れていたし、セッションワークのようなユニットだったのでとっくに別活動をしていると思っていたらいまだにデュオが続いていたとは。。。誰か今の彼らの音を教えてください。

◆そんな感じで、ピーターというカリスマ教師を手中にした少年は、自分の時間をぎりぎりまで自分だけの世界に埋没して楽しんでおりました。あぁオタクくさい青春だゼ! 

◆この性格と趣味のアンバランスさが人生最大の問題事だろう。社交的でアバウトな自分と、求道的でマニアックな自分、この二つの自分の中でいつも揺れ動いているような気がする。

◆公式HPは→

次は分かりやすいアーティストをピックアップしますf(^-^;

時代の流れと評価:Scritti Politti

at 2001 04/19 16:15

◆名盤というのはとても相対的なものだ。歴史的名盤とか革新的な曲といわれて、ロックファンなら当然通らなくちゃ失格なんていわれたりするアルバムがある。そういうものの場合、その時代に聞いたから素晴らしいというものもあって、今聴くと別になんともない物だったり、逆に陳腐だったりする場合がある。

◆例えば、五つの赤い風船やBディランの様なメッセージ性の強いもの。河内屋菊水丸なんかもその範疇に入りそうだ。また、××というジャンルを普及させた最初の一枚。ポールサイモンの初期のアルバムは、レゲエやセカンドラインを再発見して世の中に問うた記念的アルバムなのに、今聴くと全然普通だ。レゲエやセカンドラインなんて世の中に溢れているからどうってことなくなってしまう。また、個人的だが、名盤の「次回作」を先に聞いてしまい、そのアルバムに夢中になった場合、前作が焼きなおしの様に聞こえてしまうことがあり、魅力半減してしまう。

◆ぼく的に、3つ目の例として挙げられるのはScritti Polittiがある。何故か機会を逃して、彼らとであったのは3rdアルバムであるProvision(画像右)だった。強くFUNKYなベース、きらきらと光り輝くシンセのアレンジ、優しく気品のあるGreenのボーカル、どれを取ってもおしゃれでファンタスティックで、当時の英国ブルーアイドソウルの中でとても目だったアルバムだった。1日中かけっぱなしにしていたものだ。ちょうど受験時期だったもので、それ以上スクポリに手を出さなかったせいで名盤Cupid Psyche 85(左)を聞き逃していた。そして数年後、改めてCupid〜を聴いたのだが、自分の中ではProvisionのヴァージョン落ちのような感じがして、良いアルバムであることは変わりないのだが、Provisionを聴いたときの感動は得られなかった。やはり同じアーティストの音楽を味わうには時代順に聞くべきなのかもしれない。Van MorrisonのAstral WeekもMoondanceより前に聴いていたらもっと感動できたのだろう。

◆話題は変わる。そのCupid〜とProvisionを先日改めて聴いてみた。やはりおしゃれである。かわいく素敵なアルバムだ。しかし、そのライナーノーツや当時の評価ではソウルフルでファンキーなPOPアルバムだといわれていた。どこがソウルフルなんであろうか? 確かにSoul To SoulなどのUKクラブシーンへの過渡期的な部分も見え隠れはするが、今聴いた限りではそういう面はあくまで付加価値でしかなく、それ以上に、ファンタスティックな面が強調されている。いわば「夢見る女の子好きのするアルバム」だ。浮遊感があり、キラめいたアレンジと優しいガートサイドの歌声、プリファブみたいだ。逆にチョッパーが効き過ぎたベースの音が違和感をかんじるくらい。グリーンガートサイド本人が「ブラックミュージックに憧れた白人POP」と揶揄していたが、そのまんまかもしれない。ただ憧れた白人自身が相当にやり手のPOP職人だったということなんだろう。それにしても可愛くて愛らしいアルバムだ。

◆どちらにしても、音楽だけではなく文化全般に言えることだが、時代の評価って決して当てにならないものなんだな。今受け入れられないからといって、ずっと受け入れられないとは限らないし、歴史的名盤と呼ばれるものが、10年後に聴いたらとんでもない屑でしかないこともある。そして個人の感性の成長/後退でも変化する。そんなもんだ。だからずっと評価されつづけるってのはとても難しい。Like A Rollin' Stone。

◆スクポリの公式サイトは→。なんだかよくわからないサイト。。。こっちの非公式サイトの方がいいかも。そういえば99年の最新作Anomie Bonhomieはイマイチだった。Provisionに黒人ラップを絡ませただけのような。。。試聴で終わらせちゃいました(汗

マターリ逝こうよ:イザベラ・アジャーニ

at 2001 04/20 16:58

◆音楽好きですか? スキでしょうね。ここを見てくれる人の多くは、きっと、ぼくと同じ位かそれ以上、音楽を愛していて、音楽が自分のアイデンティティになっているような方々だと思います。

◆でも、この頃、時々、心の狭い音楽ファンを見かけてしまい、心苦しくなることがあります。
例えば、

 相手が××のファンだというだけで卑下したり、
 自分の趣味を他人に押し付けて、それ以外認めなかったり、
 議論が昂じて誹謗中傷ヤジの応酬になっていたり、
 お前は音楽の本質がわかっていないと説教をかましたり。。。

あぁ哀しいことです。

◆音楽って「音」を「楽」しむことです。ですから決して、それで議論したり、はたまた音楽のことで他人を誹謗中傷したりするモノじゃないと思うのに。。。自分がどう楽しもうが別に良いけど、自分の楽しみのために他人の楽しみを犠牲にしたら、それは音楽に対して失礼だと思うのです。

◆アーティストはみんな、一生懸命、リスナーを楽しませようと音楽を作っている、決して自分の作っているもので、他人が不愉快になったり、険悪になったりして欲しいんじゃないと思います。

◆いいじゃないですか、誰が何を聴こうと、何を評価しようと。さまざまな人がさまざまな音楽を聴いていて、その相対的マジョリティが時代のサブカルチャーとして文化史に残っていく。それが2000年以上昔から人間が営んできたものだと思います。たしかにマイノリティは忘れ去られますが、聴いている自分自身も歴史に残るわけではないのですから(失礼)、いいじゃないですか、一人で楽しめば。

◆ぼくは音楽はどんなモノでも楽しもうと思っています。人に薦められれば、(お金の問題がクリアなら)なんでも聴きます。その中で何度も聴きたくなるものが自分の好みで、もうお腹いっぱいになっちゃうものが、好みじゃない、それだけです。でも、好みじゃないものでも、それを好きな人がいればその気持ちは尊重するべきですし、他人の好きになり方は(法に触れない&他人に迷惑をかけない限り)尊重するべきだと思います。

◆いま、出版社に勤めてまして、色々なジャンルの書籍を手がけてます。絶対だめだろうという本もありますが、面白いことに、その収益を見ると、どんな本でも最低2000部は販売されています(10000部以上の刷りの場合)。つまりどんなものでも2000人の人は魅力的に感じてくれている訳で、あらためて、人の好みは十人十色という言葉を思い出すものです。

◆他人が何をどのように好きでも、いいじゃん。自分の知らないものだったら、その魅力がどう言うものか耳を傾けようよ。そしてどうしても合わない代物だったら流そうよ(笑)。それでいいじゃん。なんで前向きに楽しむ、そうじゃなくちゃ楽しくないじゃん。

◆音楽なんて所詮、たかが趣味。楽しむはずの趣味で他人とギクシャクしたくないよね。要するに、マターリ行こうよ(笑)ヽ( ´ー`)丿

◆画像はフランスの女優Isabelle Adjaniイザベラ・アジャーニのアルバムPull Marine。中学の頃しょっちゅう聞いていたアルバムだけど、こんなもの誰にも薦められないし、誰とも共有できなかった。でも好き。おれが好きなら俺が楽しむ。他人にどうとか言われたくない。タイトル曲のバラードが切なくてとても美しく、イザベラの声の美しさと、プロデューサーのゲンスブールの才能が光る一枚。

◆たぶん公式ページ、全部フランス語だけど。。。


最後に一曲

人の好みは十人十色ぉぉ
アノ娘あーいうコノ娘こーいうぅぅ
人と好みが違ぁってもぉ
目くじら立てず火ぉを吹かずぅ
わぁがぁ道ゆけドンドン

趣味趣味ミュージック聞け


・・・・・・「趣味趣味音楽」BY大瀧詠一



ネットと表現力:スマップ

at 2001 04/24 14:16

◆先日、Gaiaxの親しい方々と飲み会をした。40代中盤から20代と年齢層が幅広かったので、意思の疎通が不充分な面もあったが、総じて楽しい/有意義なOFF会だったと思う。来ていただいた方々ありがとうございました。

◆自分は、インターネット自体は3〜4年使っているが、BBSに書きこんだり、チャットを始めたのは99年の夏、自分のHPを持ったのが2000年の10月という、パソ通やニフを使っていた方から見れば、まだまだひよっこユーザーである。ここで、何故こういう活動を始めたかというのを話してみたい。

◆99年初頭、自分は4年半連れ添った伴侶と別離をした。自分から言い出したとはいえ、双方合意の別離である。それに合わせて友人関係も変わっていった。そういうことに関係なく友情をかわしてくれる人もいたが、やはり批判的な方も多く、ギクシャクしたままになった人もいた。その関係を修復する必要はあったが、当時は疲れ果ててしまっていて、何もする気がしなかった。しばらくは仕事以外のほとんどのことから身を引いていた。半年後、やっと資金も出来て「かつて二人の住処だった」部屋から転居、学生時代に住み慣れた武蔵野市民となった。コノ街には合計8年目だ。その時に自分のPCを業務・私用共用で購入した。

◆年齢も30に近づいたその頃、仕事ばかりだったせいもあるが、とても閉塞感を感じていた。どんどん友人が身を固めだす時期でもあり、旧友と改めて交友を深めなおすには時間がたちすぎていた。離婚のトラブルもあり、屈託なく楽しめる友人がどんどん減っていたのだ。そのくせ、独身に戻った自分には、ありあまるほどのプライベートタイムが残っていた。

◆引越しに合わせ、「自分」をリセットさせ、再起動を考えていた。人間関係も恋愛関係もすべてリセットだ。そこで方法論を持とうと格闘を始める。それが、「友達作り」だった。30にもなると新しい出会いは「仕事絡み」に限られてくる。それは良くない。まったく仕事と関係しない友人を30にもなって作ることが出来るだろうか? 


◆そこで始めたのが 
  Aインターネット 
  Bお稽古事 
  C趣味の拡張 
だった。AでチャットやBBS等で年齢・地域・職域・性別に関係ない友人を作る。Bで新しいことにチャレンジする。Cで同好の士を見つける。ということだ。残念ながらBに選んだのがHIPHOPDANCEだったが、根っからの運動オンチな上に、以前スノボで怪我をした足首に大変負担がかかり敢え無く断念。どちらにしても仕事とかぶることが多く、毎週は通えなかった。Cに関しては、このHP自体がそうなのだが、編集を生業としている間は取りかかれなかった。

◆そしてA、これだけがきちんと計画通りに進んだのだが、さいわいイイ人たちのいる場所にめぐり合い、現在までほとんど嫌な思いをせずに友好関係を増やしてこれた(Nobukazu氏とその仲間たちに感謝♪)。ここで思うのだが、ネットという匿名状態においての友好関係というのは、ある意味、本人の「地」が出る。「性格」がもろだしになる場所だと思う。本人の意図するとしないとに関わらずその人の「欲求」が出てしまうのだ。例えば
  1 自己表現をしたい、話をきいて欲しい
  2 寂しい、一人になりたくない
  3 恋人が欲しい、ヤリたい       などである。

◆とても人間の根源的な欲求なので、これらを否定したり馬鹿にしたりする気は毛頭無いし、自分もそのどの欲求も持っていると思う。本人にはわかっていない場合もあるが、みんな自分の欲求をネットで吐き出しているんだなぁと思う。個人ネットユースというのは精神の自浄効果のためにも必要なのかもしれない。そして、その吐き出すやり方の相性で、仲良くなれたりなれなかったり。。。仲良くなれるかどうかが、双方の地位や性別や外見じゃなくって、その人の「表現方法」であるっていうのは、インターネット人間関係の特化した面白さだと思う。

◆回りの情報に惑わされず、その人の人間性の1つである「表現力」が大きな鍵になるネットというツール、色々事件事故もあるけど、多いに魅力的だと思っている。


話題がそれたので、それたままで行こう(笑)


◆ネットという偽マスコミメディアが発達した事により、本来身内的なモノだったり、一度他者の目(出版社やTV局)を介在していた個人の表現というものが剥き出しのママ衆目にさらされる様になってしまった現在、個人の表現力の優劣が揉め事の原因になる事が多くなっていくのだろう。他人が見たらどう思うのかという第三者的な視点を誰もが問われてしまう時代になってきている。

◆そんな表現という部分ではアイドル界ピカイチのグループがSmapだ。彼らの凄いところは全員が個々としてすばらしいキャラクターを持っているにもかかわらず、グループとしての音楽活動も、(メンバーの、あるいはプロデューサーの)誰かが中心で引っ張っているわけではない。各々のキャラの音楽的な部分を刷り合わせて集団指導体制を敷いているところだ。

◆普通、誰かが頭一個分飛びぬけていたり、各々が個性を出しすぎて散逸した印象を持たれがちなモノだが、彼ら全員、及びバックのスタッフも含めてが全員が対等にコミュニケーションしている、セッションのような音楽を作り出している。それが彼らの「音楽」のもっとも魅力的な部分だろう。突出した表現でもなければ、追従するわけでもない。上手く役割を分担し、個々の能力を十分生かしたかたちでグループとしての音を作り出していく、音楽を専門にやっているプロのミュージシャンでもなかなか出来ないことだ。

◆しかし彼らの音楽の仕込みをしているのは誰なんだろう。画像はお気に入りのアルバム011ス。公式ページは→

◆いつもそうだが、今日は飛びきり纏まらない内容だなぁ。。。汗

今月のオトシャベリへ、●アーティストリスト


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