at 2001 02/21 15:12
◆10月からこのMusic Talkをはじめた。毎回更新するたび思うのだが、書いているときは、文字数が少ないなぁ、これじゃいいたいことの半分も言えやしない。でも沢山書くと読みづらそうだからなぁ。。。などと思っているのだが、UPすると予想以上にスペースを取っていることに毎回気づく。1行たかだか50W。なるべく漢字を減らし平易な文章にしようと心がけているので、文字数が多少多めになるのは仕方ないといえば仕方ないが、昨日のシェリールの文章にしてもワードでA4の用紙ほぼ1枚(40W×40L)以下である。
◆普段から文章の練習をしている人なら簡潔に書けるのだろうが、自分のように幼稚な文章だと、どうしても1枚じゃ気持ちを書ききれない(データも入れなくてはならないし)。しかし多ければそれでいいたいことが書ききれるのかというと、結局まとめきれなくなって、意味不明の戯言の羅列の様になってしまうのは目に見えている。難しいものよのう。。。。
◆自分の様に絵やデザインで見せたり、音楽にしたりできない人間にとって、文字/言葉というのは唯一の意志伝達手段である。しかし、その伝達手段ってのが思いの外、御しがたい代物である。そしてまた、言葉はなんとも不自由なもので、100万語の言葉よりも一瞬の映像のほうが物事を的確に語ってしまう場合も多い。
◆音楽の場合は特にそうだ。どれだけ的確な表現を並べたとしても、その音楽の本当の良さを相手に理解してもらう事はできない。だからライナーノーツや評論も、特筆して表現のうまい人を除けば、みなデータや個人的思い入れの発露として逃げてしまう。その点、どうしても逃げられないのはジャケットだ。
◆ジャケットというのはとても大切なものだ。1枚の画像でその音楽のウリを表現しなくてはならない。上手く表現できているものもあるが、どうしようもないものもある。また、ジャケットはとてもいいのだが、内容とかけ離れたものもある(これはジャケ買いをして後悔させられる事になるので消費者としてはもっとも憎むべき存在だ(笑))。
◆Cannonball Adderleyの58年の名盤Somethin' Elseのジャケットは素晴らしい。黒ベタの地にゴナ系の文字のみ。しかしCannonballのクールさ、研ぎ澄まされたプロのテクニック、そしてその完璧なまでに煮詰めた完成度を、このジャケットは表現している。そしてそれらを手に取ったものに感じさせることに成功している。
◆あぁ 音楽自体に入れない内にすでに書き過ぎてしまった。デザイナーReid Milesはスゴイということをいう、それだけのTalkになってしまったらしい(笑)。Cannonball Adderley:Sax (Alto) Miles Davis:Trumpet Leonard Feather:Liner Notes Hank Jones:Piano Sam Jones:Bass Art Blakey:Drums、まあこれを見ただけでも歴史的名盤だとわかるわな。。。クールなくせに滑らかなホーンを堪能してください。
◆試聴する? CDナウへGo!(笑)
at 2001 02/24 20:31
◆今日は僕の本当に好きなアルバムだ。91年の春、NYCのBeacon Theatreにて行われたLiveをまとめたアルバムThe New York Rock And Soul Revue Live At The Beaconだ。誰のアルバムかって? R&B好きなオヤジたちのアルバムだ。
◆MCによる紹介のあと、妙に軽やかに始まるのはDonald Fagen。The Nightflyの後、何やってるんだかと思ってたら、小さなライブハウスで遊んでやがった。とても軽やかに楽しんでる。完璧主義的なオリジナルアルバムでのDonaldとは大違いだ(笑)。
◆そしてその後を受けて現われたのが元DoobiesのMichael McDonaldとブラックフォークの開拓者Phoebe Snowが歌うKnock On Woodだ。なんとなく商業ポップス的な活躍が目立ってあんまり好きじゃなかったMichael、このアルバムで見方が変わったぞ! そして堂に入ったSnowおばさん、Paul Simonのアルバムでデュエットしていた頃から好きだったけど、いいねぇこの人。完全にMichaelを喰いまくってる。歌のうまさなんて関係ないや。
◆そしてFagenが自分の曲。ちょっと雰囲気が変わる。Fagenの音楽への忠誠心が見え隠れする。さっきまでのカバー曲は「音楽好き好き!」って騒いでいたかんじで、オリジナル曲のほうは真剣な恋愛のような感じ。
◆そのあと2曲、Snowが聞かせてくれてディープなR&Bの世界に。またMichael、今度はLonely Teardrop。ジャッキーウイルソンのヒット曲だ。このオヤジ、RB好きなんだなぁ結構いいやつじゃんと思わせる(笑)。
◆そして!なんとBoz Scaggs、Silk DegreesのAORとは全然ちがったBozが聴けるぞ。ライナーノーツでは「原点に帰ったような」って感じで書いてるけどWe Are All Aloneしかしらんからなんとも言えん┐('〜`;)┌ そしてCharles Brown。ちょっとブルージーな感じ。
◆そんな感じで呑んだくれR&B好き親父たちにぴったりのライブは続くが、もっとも気持ちのいいパフォーマンスがEddie&David Brigatiの兄弟が歌うGroovin'。自らの率いた歴史的バンドRascalsの往年のヒット曲だ。多少音に不安定なところもご愛嬌なくらい本物をかんじさせる。 Groovin'OnASundayAfternoon! ほら、すぐ口ずさんじゃう(笑)。
◆そんな感じで、往年のR&Bヒット曲とFagenやMichaelのJazzyなオリジナル曲が交差し、絶妙なバランスを保っている。こんなライブ、間近で見ることが出来たら最高なんだろうなぁ、一生アル中でもいいってかんじ。あぁニューヨークへ行きたいねえ。。。
◆試聴はここだっ! まだ聴いてない人は必ず買うように(笑)。
◆O氏を真似てウイスキーの瓶を片手に書いたら訳わからんくなった。やはり素面で書かないとな。でもアルコール、それもバーボンなしでは聴けないくらい楽しいアルバムなのだ!!
at 2001 02/25 21:57
◆俺がSmapとかモー娘。とかあゆあゆ等を聴いていると不思議なものを見た気分になる人がいる。なんだかマニアはメインストリームを聴いてはいけないような偏見があるのかもしれない。
◆カラオケ等の普及により大分低くなってきてはいるが、音楽の世界はメジャーとマイナーの境界線が非常に高い。そしてマニア好きなもの、いわゆるマイナーとかサブストリーム、洋楽等も細分化されて互いに不干渉の世界になってきている。
◆GLAYやラルクなどのビジュアル系と呼ばれるものはあまり好みではないので聴かないが、メインストリームものもかなり好きである。モー娘などの曲は相当高い音楽性を持っている。かなり昔のアイドル歌謡曲はビジュアル先行の大量生産に支えられていたため、音楽的にはかなり質の低いものが多かったが、バブル以降、大衆の耳が肥えたこともあるだろう、人気のあるタレントの音楽は、中途半端にアーティストを気取っているやつらよりもいい音楽を供給してくれる。SmapのアルバムなんかWill Leeやマンハッタントランスファー、ケニーギャレットのメロディが聴けちゃったりするんだから世の中不思議だ(Smap012)。田原俊彦のプロデュースをフィルラモーンがしただろうか? ジャパンマネー万歳(笑)
◆そんな現在、たかがアイドルタレントと馬鹿に出来ない状況が生まれているのは間違いないだろう。金の集まるところには優秀な人材も集まってくる。そして現在のJ-WAVE等のチャンネルやタワーレコード・HMV等の外資系資本を無視できないマーケットの中で高い音楽性を持つアーティストに対抗せざるを得ない現状、やはりハードルの高い音楽性を提供することが消費者ニーズとなってくるのは否めないだろう。音楽好きにはいい時代だ。
◆そんな状況はアメリカではとうの昔に起こった話だろう。80年代以降のアイドルの音楽は、一流のアーティストに引けを取らない出来である。このWill Smithの99年の大ヒットアルバムWillenniumもそうだ。元The Fresh Princeだとは言ってもアイドルタレントである。帰国子女の某氏には「アメリカのロウティーンとおんなじような音楽聴くんだね」と冷笑されたが、僕自身はとても気に入ってるアルバムである。確かに子供向きではあるが、決して子供だましではないところがいい。
◆子供向きなエンターテインメントというのはとても難しいものである。子供は背伸びをしたがる生き物であるから、少しでも見下して舐めた態度をとると敏感に察知する。その上、過剰なほどの刺激を求めるくせに、その刺激への順応も早いので飽きるのも早い。つまり、対等な目線で、新しい刺激を常に提供し、その上でクオリティの、ある程度、高いものを作らなくてはならない。考えるだけで大変さが身にしみてきた。実は、子供よりその道のマニアのほうが、満足させるのは簡単なんだよね(経験談)。
◆そんなことで、このWillくんであるが、飽きないのである。ラップというアルバム一枚聴くには、ちょっと中だるみしがちなジャンルの癖に、一曲一曲がどれもシングルカットできるくらいのクオリティを持っている。その上、一曲一曲が違った趣きを持っているので、4分ごとに新しい発見がある。
◆オープニングに相応しい一曲目、切れのいいラッピングが炸裂し、スピード感あるダンスナンバーである2曲目に続く。そしてダブルラッパーの相棒やチープなコーラスとの掛け合いが絶妙な3曲目、クールなトーキングの4曲目、これも女性ラッパーとの絡みが見ものだ。5曲目はラテンちっく。。。そんなかんじで15曲も楽しめる。ラップやヒップホップが全然興味のない人でも、関係なく楽しめる作りだ。
◆たしかにきちんと音楽を追いかけている人には新しさはないかもしれない。ビートルズやキングクリムゾン、大滝詠一や大沢伸一のような新しい実験は皆無だ、むしろ避けている。しかし「音」を「楽しむ」という意味での音楽ならこのアルバムはかなりいい出来だ。商業音楽の商業音楽たるポイントをきちんと踏まえたアルバムだろう。そういう意味でSmapもWill Smithも楽しんでいる俺はおかしいのだろうか(笑)。
◆SMEのWillのページ。試聴も出来ます。USオフィシャルは→★
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