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最初に

at 2000 10/16 23:29

◆唐突にHPを作ってみた。というのも、編集を降り、送り手から受け手に変わったからだ。受けてなら好きなことをやってもかまわまい? そう思ってはじめてみた。

◆送り手でいるということは、常に自分の発っするものに責任を負うということだろう。だから編集業をやっているうちは、同じ送り手という立場をオンタイム&オフタイムでやることは自分の精神上絶えられまい、と思ったからだ。

◆OnとOffの境界線は何だろう。それは好きなことをすきなようにやれるか否かだと思う。Onでは好き嫌いに関わらず自分の言動に責任をもたねばなるまい。そういう意味で、このページは明らかにOffである。自分のすきな物だけ紹介していこうと思う。ただそれだけ。しかしその中で、一億人にひとりでも、何かいいものに出会うきっかけにでもなればいい。ただそう思っている。

いきなりオルガンジャズなんだけど・・・:SOULIVE

at 2000 10/17 15:01

◆ジャズオルガンなんて聴く?フツー聴かないよね。聴いてもJimmySmithくらいかな。あるいは10年くらい前にバラカン氏が作ったコンピレーションアルバム(SOULFINGERS)で紹介されたものくらいだろうね。僕もそうでした。jam系の音楽がロンドンとかで流行り出したころ、オルガンがちょっと注目されたけど、所詮ここちいいグルーヴ感を出せるアーティストにめぐり合うことはなかった。すでにジミースミスもご老体、思わず腰が動くオルガンなんて過去のBLUENOTEものくらいだと思っていた。

◆しかしSOULIVE(ソウリブ?ソウライブ?)に出会ったときは凄かった。タワレコの試聴機の前でグラインドしている自分がいた(笑)。

◆SOULIVEってのはドラム・ギター・ハモンドオルガンのトリオ。全員20代前半らしいんだけど、ボトムから身体を舐めるように盛りあがってくるグルーヴ感がたまらない。その癖にクール! 

◆感触としてはメイシオパーカーみたいな感じかな? たかがジャズトリオ、なのに充分厚く巧みな音なので踊れます。いや、酔えます。たぶんストレートのバーボンが似合う感じだな。これはとてもみっけもの。大推薦です。

◆SOULIVEのオフィシャルページはここです

◆今日は熱があるので酒も飲めないのがちょっとツライですな・・・ストレートのCCとグラインドするハモンド、そして惚れたイイ女、それらに酔いながら気づくと終わっている人生。なんていいかも(笑)。



不似合いにもTV見てるし・・・:m-flo

at 2000 10/20 01:09

◆ TVばっか見てる。19時台に家にいてTVみてるなんてすッごく久しぶりなので、なんかズルしてる気分。

◆なんて番組か知らないがモー娘やパフィーが出て女性アーティスト特集のようなものをやっている。中山美穂からはじまってデビュー映像を色々見せているのだが、こうして見ていると自分の趣味がわかる。おにゃんこやSPEED、モー娘、PUFFYらの曲は結構好きで、ほとんど記憶にある。しかし中山とかZARD、安室などは全然知らなかったりする。

◆何故だろうと思って見ていると、自分のアンテナに反応する曲は、大体複数のボーカルが絡むタイプの曲だった。

◆HIPHOPが好きなのも、ボーカル(大抵女性)とラッパー(大抵男性)の掛け合いのスリルがカッコイイなと思ったりするところだろう。ずっと以前だが、ブルガリアンボイスが流行った。あれも大人数の女性の地声(のような発声)がとても魅力的だった。

m-floの魅力もその声の絡みだ。リサの様々に変化する声音とVerbalのラッピング。時には大らかに優しく、時には機械的な冷たさ・厳格さのあるリサのヴォーカル&トーキングにVerbalの特異なラップが絡むところは彼らの最も大きな魅力だろう。他のラッパーとは待ったく違った彼のラップ。彼はたぶん文化的に日本人ではない(帰国子女)からだろうが、普通なら全然日本語が乗らないリズムでラップしてくる(なんど練習しても歌えない)。

◆そんな彼らの新曲「HOW YOU LIKE ME NOW?」がとても気に入ってる。それもRADIO-EDITバージョンが。あのイントロ部分のメンバー3人全員の地声でのアカペラが印象的だ。普通、メロディアスなコーラス部分をアカペラにするのが、彼らの場合全くメロディのないまさに地声のイントロ。そこがとても琴線に触れる。

◆あんな風に歌的ではなく、しかし人の心を惹きつける息の合った掛け合いをしてみたい。そして声を合わせて旋律を奏でてみたい。30にもなってまだそんなことを思う(笑)。

年末でもないのに・・・:JOHN LENNON

at 2000 10/18 23:44

◆年末になるとラジオから聞こえてくるのは、なぜかBeatlesと第九。どちらも年の瀬となんら関係ないのに。何時頃からだろう、あぁジョンの死んだのが12月9日(リメンバーパールハーバー&釈迦の解脱日)だからだ。

◆だけど今年は、10月に入ってから、ひっきりなしにジョンレノン。なんかジョンの記念館が出来たり、ミレニアムバージョンCDが出たり、なんとなく「今年も終わりかぁ」的な気分。

◆そういえば春頃だったか、BeatlesのHeyBulldogがJ-WAVEのチャートで一位をとったっけ。あの時は1Beatles 2Sting 3SteelyDan、一体本当にミレニアムなんだろうか、と思うチャートだった。

◆ジョンは好きです。なんか痛々しくて好き。肉声が心に届いてくる感じ。一番好きなのは死ぬ直前のDoubleFantasyやMilkHoney(こちらは死後発売)の頃。

◆本当にヨーコガ好きで、ショーンが可愛くって、歌ってて楽しい! って感触が伝わってきて、聴いてて嬉しくなっちゃうんだ。

◆GrowOldWithMeてスゴイ口説き文句だもんね、「俺と一緒に歳をとってくれ」なんて。Womanも好き。女性に惚れるってなんてすばらしいことなんだろう、そんなすばらしいことを与えてくれた女性に感謝したい!なんてすごい前向きで嬉しくって楽しくなる歌。これ、僕の恋愛論の基本になってます(笑)。

◆今日はこれくらい、明日は河口湖だ♪

小粋なハスキーボイス:LEE WILEY

at 2000 10/20 01:08

◆「JAZZが好きなんですか?」と近頃知り合った友人に訊かれた時、思わず躊躇してしまった。

◆「あなたにとってJAZZってどんな音楽を指すんですか?」と訊ね返したい気分だった。

◆JAZZってどんな音楽を想像しますか?グレンミラーのようなビッグバンドですか?マイルス・デイビスやキャノンボール・アダレイのようなハードバップでしょうか、それともインプロビゼイション中心の現代音楽系でしょうか?  JAZZだけじゃなくってROCKもPOPSも、音楽の種類が多様化して、一概に好き・嫌いを言えなくなっていると思います。

◆ぼくはビッグバンド系、特にボーカルモノは結構好きです。でもビルエバンスのようなものは聴きませんし、マイルスとかもそんなには聴かないです。

◆大好きなボーカリストはLeeWiley。1930〜50年代に活躍した白人女性ボーカリストの草分け的存在だ。かぼそい声でサテンのイヴニングドレスに包まれたハスキーボイス。紫煙とスポットライトでドレスアップされたヴィブラート。そんなイメージの彼女が、とても小粋なNYを夢見させてくれます。

◆マイフェイバリットソングをあげると1950年発表の「Manhattan」。最も有名なアルバム「ナイト・イン・マンハッタン」収録の曲で、彼女の最大のヒット曲のひとつだ。声量はあるとは言えないが、実に気品があり優雅な都会の女。エレガントを形にしたようなそんな時間を与えてくれる。

◆作詞作曲は、ロレンツ・ハート&リチャード・ドジャースという、ガーシュウィンと並ぶ当時きっての人気作曲家。なんかのミュージカルにも使われたらしいが、資料等なくてわかりません。

◆なにしろ当時の女性JAZZシンガーといえば、ビリーホリディもどきのトーチソング歌いばかり。苦しく貧しい哀しみを謡う、辛気臭い雰囲気の中で、リーの気高さと粋さは眼を惹いたことだろう。

マイフェイバリットROCKその1:Elvis Costello

at 2000 10/20 23:55

◆なんかJAZZ・HIPHOP・ROCK・JAZZと来ていて、結局何が好きなんだ?と思われる方もいると思うので今日はマイフェイバリットアーティストについて、その1ROCK編。

◆3人挙げろ、といわれるとElvisCostello、VanMorrison、RyCooderを挙げたい。高校の頃からそうなっている。なんて渋い高校生だ、と笑われる方も多いだろう。すべてNHK−FMのサウンドストリートとポッパーズMTVが悪いのです(笑)←同時代の人しかわからない話ですな。

◆で、まずコステロなんだけど、最初に聴いたのがBloodAndChocolate。全然わからなかった。15歳のときだったと思う。しばらくCD棚に埋もれてたのですよ。で、ふと高3の時に聴き返したら、渋くて味があって心の底にきゅーっとくるような感じがあったのですよ。

◆そして聴きまくった×3.全小遣いを投資してほとんどのアルバムを聴いた。いいなぁ、どれもいいけど、ROCKとCOUNTRYとPOPの中間点的な位置をしめるImperialBedroomが一番のお気に入りになったのです。

◆しかし、時代を総なめにした直後に現れた新譜。それが未だに覆せないマイベストとなった。

◆タイトルはSPIKE。ポールマッカートニーとの共作アルバムで、あのニューオリンズのダーティダズンブラスバンド競演。そして大ヒット曲Veronicaを産んだアルバムです。

◆何がいいかって全てがベスト、というかノッテるなってのが伝わってくるアルバムで、彼の全ての集大成なのですよ。

◆ポップであり、かつ渋い。叫びもあれば楽しそうなところもある。バックのメンツもスゴイ。Tボーンバーネットもいればジムケルトナーも、なんとアラントゥーサンまで。あらら、プリテンダーズのクリッシーハインドもいるな。マッカートニーだけでスゴイのに、このテンコもり。名盤にならなけりゃ嘘ですな(笑)(といってもメンツだけ凄くて、全然残らないアルバムも沢山あるけどね)。

◆とにかく誉めることしか出来ないです.全てがいい。これを聴けばオレの趣味がほとんど判る(爆) 。

◆コステロは誠実なアーティストだと思う。音に対して妥協しない。いつも一定のテンションを保っている。どんな失敗作でも一定の成績を納めながら失敗している。だから失敗でも聴いててまったく後悔しない。そこがとても好きだな。作家の編集やっていても、作家が作品(読者)に対してとても誠実な姿勢をとっている作品は担当していてやりがいがある。また誠実さは必ず受け手に届く。そうなると必ず受け手も気分がよくなるし、その作品に好意を持てる。やっぱりそんな仕事がいいね。

のっけから野太いホーンに腰砕け・・・:Galactic

at 2000 10/22 02:33

◆タワレコの試聴コーナーで、のっけから腰砕けになった一目惚れアルバム。GalacticのCLAZYHORSE MONGOOSEである。現代のミーターズだぁ!

◆ギャラクティックは7人編成のファンクバンド。1994年にニューオリンズで結成され、96年にレコードデビュー、このアルバムは98年のセカンドである。発祥地どうりのニューオリンズグルーヴをベースに、アシッドの色合いを出したジャムバンド。

◆7人のメンバー(ドラム・ベース・ギター・オルガン・ボーカル・2サックス)の半分以上が白人(笑)。リーダーのスタントン・ムーア(Dr)自体白人なのだが、そのグルーヴ感は黒人以上に黒い! 黒すぎる。

◆それもそう、ジョニー・ギター・ワトソン、ミーターズ、メイシオ・パーカーらとジャムったり、オフビートマガジンに「Best Funk Band」に選ばれたり(97年)、もう肌の色を通り越して、真っ黒なファンクバンドなのだ。

◆とにかく腰が砕ける。リズム&ホーンセクションの切れがよく、しかしまったりとしたリズムに起きあがれなくなる。その上にギターとハモンドオルガンがヌメヌメ〜っとやってきて、身体中すべての精気を搾り取っていくようだ。

◆ボーカル曲は2曲しかないものの、シェリル・デ・クローの声がまた渋い! この人、他のメンツより20歳も年上で、ネビルブラザーズなんかと活動していたベテランらしいんだが、なぜ若もんバンドに? 

◆このアルバム、全12曲、すべて最高です。3rdであるLATE FOR THE FUTUREの方が評判が良いのですが、現在流行の「JAM」という視点から見れば、確かにLATE〜の方が実験性とその成功度は高い。しかし、純粋にニューオリンズサウンドを楽しもうと思うとCRAZYHORSE〜に軍配が上がると思う。楽曲も古きよきセカンドラインの流れを汲んでいるし、5日のセッションだけで完成されたというだけあって、音が楽しい。楽しんで演奏している感じが伝わってくる。そこがまたいいんだな♪ 聴いていて疲れないし。

◆なる〜く音楽を聴いていたい方、超オススメです。

◆なお、12曲目は長〜い空白の後、隠しトラックがありますので、演奏が終わってもしばらくPLAYのままにしていてください。
このバンドもオフィシャルページあります

門外漢からの推薦盤:Astor Piazzolla

at 2000 10/23 00:19

◆タンゴだ。いや、タンゴなんて全然語る資格ないっす。なんたってほとんど聴いたことが無いからっす。

◆大体黒のドレスのおばちゃんと、ダンディ(笑)オヤジが気取ってエッチっぽく踊るワルツのようなものだという意識しかなかったっす。
でもこのアルバムはすごいのですよ。全然エッチじゃない。というかなんか死にたいの?って感じ。デッドリードライブへのテーマ曲みたいです。

◆ほら、ジョーズのテーマってだんだん恐怖が迫ってきてどうしようもなくなっちゃう感じをよく出しているでしょ。このアルバムTango:ZeroHourを聴いていてもそんな感じ。

◆焦燥感っていうか追いたてられる感じというかいても立ってもいられなくなっちゃうの。なんか高速を180キロで走らなきゃならない感じだね。全7曲一秒も息をつけない。とても緻密だ。緻密さが狂気めいてる。

◆ヨーヨーマ人気でちょっとおっしゃれーって気持ちでタンゴを聞いてみちゃってる人たちに言いたい。このアルバムを聴いているといかにタンゴが死と隣り合わせの緊迫感で作られているのかすっごくわかるから聴け(笑)

◆とりあえずあんまり知らないっスけど紹介を。ピアソラは1921年ブエノスアイレス南のマルデルプラタで生まれ、92年にタンゴヌーボーの立役者として、数え切れないフォロワーとファンを生み出してこの世を去った、タンゴの作曲家及びバンドネオンの演奏者です。

◆そして彼の全盛期(定説)であった時期をちょっとすぎた96年にニューヨークで作られたのがこの名作「タンゴ・ゼロ・アワー」です。

◆ざわざわとした都会の騒音の中にシュプレヒコールが混ざり、それが加速されていく。そこにバンドネオンのヒネた短調の音色が切りこまれていく。つねに沈着冷静、しかしその中に納め切れないほどの狂気を秘めた旋律が刻まれている。

◆抑制されてはいるが確実に感情を吐露しているバンドネオンの音色に、敵意を持つようにぶつかっていくバイオリン。。。いやぁ何を言っても、聴く以外に意味ないですね。
クラシックファンもポップスファンも流行り物好きもぜひ聴いて欲しいアルバムです。
公式HPは見つからなかったので、工藤庸介さんというかたがとても愛情ぶかくピアソラを語っているHPと、世界一詳しくピアソラについて語っているピアソラオルグページを紹介しておきます♪

映画音楽紹介なんです:トロヴァヨーリ

at 2000 10/24 11:44

         ◆わりとイタリアンコメディ映画は好きだ。特に「黄金の七人」シリーズ。<マルコ・ヴィカリオ監督のふざけた爆笑モノのストーリーに、いかにも午後のマダム的なまったりとしたスキャットがBGMとして絡む。

◆この映画は007シリーズに対するイタリアの回答として認知されているが、日本人に言わせりゃ、「ルパン三世」の元ネタ以外の何物でもない!

◆夏に見た「女性上位時代」もカトリーヌ・スパークが、死んだ夫の異常性欲のための隠れ家を見つけたことで性について目覚めていくというだけの下らない映画だったが、スパークの可愛さと、そのおしゃれさ、BGMの気持ちよさにメロメロになったものでした。

◆まあ、どれもこれも、いわゆるお昼のテレビ東京系のB級映画なんだけど、ピチカートの小西クンが広めたおかげで、サントラが続々再発されている。

◆で、オススメがsesso matto。73年に公開されたディーノ・リーヂ監督の作品だ。日本未公開。内容はCANDY1969という、とっても愛情こもったHPがあるので、そこに詳細が載ってるのでみてみてね。お色気コメディです

◆映画じゃなくて音楽だった。セソマット、すいませんジャケ買いでした。アレは22歳の時、今はなきCISCO・ALTA店で目に入ってきたアナログレコード。そのカラフルな色使いとさえない男たちの顔。そのど真ん中に君臨するラウラ・アントネッリちゃん。なんの音楽かもわからないでレジに向いました。そして聴いた! カッコイイ! 1曲目からファンキーなスキャット。また喘ぎ声入り(笑)なのが嵌っていて尚カッコイイでのすよ。わかりやすく言うと11PMのオープニング「シャバダバシャバダバ〜」がもっとダンサブルになった感じかな。

◆基本的にメロウなスキャット中心のトロヴァヨーリにしては珍しくダンサブル。ライナーノーツの中で橋本徹氏が「73年は16ビートが確立された年だから、その影響を受けたのではないか」的なことをおっしゃっております。

◆まぁ実はこの曲以外はトロヴァヨーリらしいまった〜りした昼下がりの紅茶のような曲が続きます。それも充分イケてるんだけど、だったら「新黄金の七人7×7」のアルバムのほうが出来が良いかも。オープニング聴きたさに、レコード持ってるのにCDまで買いました。レコードはジャケット鑑賞用に(笑)。

◆セッソマットはタイトル曲だけで沢山のサントラアルバムの中からぬきんでていると思う。映画自体が見れないのが残念。

何に誠実であればいいのか?:鈴木博文

at 2000 10/25 21:17

◆誠実であるということはいかなることであろうか?
例えば、恋人に誠実ということは、浮気をしないこと?(それだけで誠実なのか?)包み隠さないこと?(事実を伝えればいいってものじゃないだろう)ウソをつかないこと?(ウソをついた方がいい場合もある) 

◆仕事に誠実になることも難しい。編集業(だけとは限らないけど)というものは常に時間との勝負だ。締め切りまでの時間が短ければ、期日を守るためにも、やっつけ仕事にもなることが多い。作家の作品が練りこめば良いものになるのを分かっていながら、敢えてダメ出しをせず、未完成のままでOKを出してしまう。それは不誠実なのか? 逆に時間があればあっただけ、クリエーターは作品完成に対してこだわってしまい、誰も分からない自らだけの世界に埋没する可能性が大きい。独り善がりな作品が誠実といえるだろうか? また時間を与えすぎたために、作家が油断して作品の質が落ちる場合もある(また出ない場合も)(他の業界でも同様の悩みは尽きないと想像する)。

◆右から左へ流してもいけないし、こだわり過ぎてもいけない。出版は文化事業でもあり、商業活動でもあるのだ。そのジレンマ、そして作家と読者と会社と、どこに立脚点を置けば良いのか、それもジレンマである。何に対して誠実であれば良いのか、自分の中途半端さ、優柔不断さが哀しくなってくる。

◆自分はこう考えることにしている「誠実でありたいと悩むこと、それこそ誠実なのではないだろうか」と。誠実さとは過程でこそあれ、結果ではない。決して形として評価はされないが、悩んだことが積み重なって自分の年輪になっていくのだろうと。それでいいのかもしれない。しかしそれは胃潰瘍の元でしかない。

◆いままで聴いた音楽の中でもっとも誠実さを感じたのは、鈴木博文さんのデビューソロ「無敵の人」である。フーちゃんこと鈴木博文さんは、日本一活動歴の長いPOPバンドムーンライダースのメンツで、リーダーの鈴木慶一さんの弟でもある。音楽的には兄・慶一の音の方が好きだし、ムーンライダースの方が全然良い。

◆しかしこのアルバムを聴くと、とても自分の中途半端さが恥ずかしくなってくる。フーちゃんはまっすぐ自分のやることを決めている。自分が何に対して誠実であろうとしているのか、それが分かってるのではないだろうか。

◆「何かがいらなくなった時 どこかへいきたくなった時 ぼくはすぐ夢を捨てる」フーちゃんはいさぎよい。それは覚悟を決めてしまった人だけができる誠実さだ。

◆兄についてバンドに加わり、30も過ぎた、そんな時期に発表したソロは、もう迷うことなく、自分の信じた音楽を追及する、一生自分(のリスナー)に対し、決して恥ずかしくないような音楽だけを作っていく。そんな覚悟を宣言するようなアルバムである。だからとても自分に対して誠実な立ち位置にいるのだろう。送り手の誠実さは必ず受け手に伝わる。

◆そんな彼のような覚悟、自分も持っていたい。その覚悟と、覚悟から産まれる迷いのない誠実さを持って、仕事をしたいし、人を愛していきたい。生きていきたいと思う。

三寒四温かな?:矢野顕子

at 2000 10/26 22:17

◆石油ストーブを買った。
9800円の安物ではあったが、実家がガスストーブオンリーだったため、イマイチ使い方が判らない。アイツに教わりながら恐る恐る着火…「ボッ」と威嚇するような音がして、白煙が舞いあがった。

◆「なんだ?俺は死ぬのか? それとも二目と見られない顔になって生き残るのか?」
再び、死へのダイブにトライする。
今度は火がついた。青白い、今にも一酸化炭素を撒き散らしそうな炎。

◆「うん、それで大丈夫」
PCで日記を更新しながら、諭す様に話しかけるアイツの声にちょっと安堵。

◆だんだん青から金赤に変わっていく炎を見ていたら、もう冬が近いんだなぁと感慨にふけった。

◆20世紀最後の冬である。別に思うことはないが、大王が降臨しなかったことに感謝しよう。そして「アレは新暦だから、旧暦だとね来年1999年なんだ。だから次の7月さ」とでも言いながら、アンゴルモアが現れない事を切に願うのだった。

◆それにしても今日は暑かった。まだ冬は遠いらしい(―▽―;

◆寒くなるとぬっくい音楽が欲しくなります。
人なつっこく心を温めてくれる音楽。あなたにとってはどんな音楽ですか?

◆ボクにとってはあっこちゃんこと矢野顕子
ここ何年かはCMでもおなじみの「あったかーいクリームシチューを食べよおおお」
ってヤツです。クリームシチューは97年のシングルヒット。あっこちゃんが名コンビである糸井重里さんと作った曲です。スーパーフォークソングも二人の共作なんですよねー。あっこちゃんのマイベストといえば「スーパーフォークソング」。すっごく可愛い曲なんですが、「クリームシチュー」も負けないくらいイイ曲です。

◆なんかとても切ない事があって、どうしようもなくって、でも家に帰ったら、温かいシチュー(家庭の温か味)が待っていた。そんな感じに聞こえる曲です。

◆あっこちゃんって本能的に天才なんだよね。本能っていっても母性本能。そんな彼女の温もりに触れられたら、すっごく癒されると思う。そんな1枚。その曲が入ったアルバムOuiOui、なんかシチューのみのレビューになっちゃったけど、他の曲もとっても温かいです。ジャケットも初回ジャケは可愛いネコのイラストケース入りで良かったんだけど、お見せできないのが残念。

◆心が寒くなったらあっこちゃんで暖まってみてください、おなかからあったまります♪

アシッドなファンク満載でよだれじゅるじゅる、腰砕け、カウパー腺液でまくり、ああ私もう逝っちゃう!ってかんじのぶにぶに感?:Parliament

at 2000 10/31 00:33

◆唐突だが今回はP−Funkを語ってみたい。

◆P−FunkてのはGeorge ClintonとBootsy Collinsを中心としたFunk集団の音楽の総称であり、James Brownの生み出した(?)Funkをよりドロドロに、腰のひねりをクールに且つ強力にした音楽である。

◆簡単に歴史を辿ると、60年代末よりClintonをリーダーとして二つのバンドが活躍を始める。荒唐無稽なストーリーと奇抜なファッションで世の中の話題を集めたゲテモノファンクバンドParliamentと、ギターを中心としたジミヘンビックリの黒人ヘヴィーバンドFunkadelic。ここに元JBバックバンドのBootsyと、JB'Sで活躍していたMacio Parkerらのホーンが加入。ヒップでクールなP-Funkサウンドが完成する。

◆事実上、Parliament/Funkadelicの活動は80年代初頭で終了するのだが、その大所帯となったメンバーがそれぞれ、個々の活躍をみせ、それらを総称してP-Funkと呼ぶようになっていく。PrinceやDeeLite、EazyEなどのフォロワーも現れ(というと王子に失礼か?)、P-FunkはHIP―HOPの基礎母体ともなり、今にいたる。という感じだ。

◆なんていうのかな、言葉で語るより、とりあえず「大音量で踊れ」という気分だけど、Yuukuさんのコメントに反論したこともあって、自分の私見を語ると、P-Funkてスゴイし、上手いし、好きだし、時代を変えたバンドだと思うけど、基本的には「大の大人が聴くような音楽ではない」わけ。社会的な視点が云々言うけど、Clintonにとっては黒人の地位向上
とか目的はあったかもしれない。でも当時の見方は、所詮ゲテモノニガーバンド。

◆だって、マザーシップにのって、世界をファンクで平和にしようと願うドクター・ファンケンシュタインがバップガンという武器を持って、“ファンクの敵”サー・ノウズ・ドヴォイド・オブ・ファンクと対決する、なんて70年代のデーモン小暮閣下ではないか! いくら閣下が愛を唄っても、聴いてる人の心に響くか? 

◆現在から考えればP−Funkは確かに時代を作ったバンドだが、なぜそうかというのも、フォロワーが大量に存在するからであって、何故存在するかというと、子供の頃聴いていたバンドだからである。つまりP−Funkっていうのは黒人下層階級の悪ガキたちが聴く音楽なのである。

◆まあ子供まで踊ることが出来たんだから、もちろんClintonは重要なエンターテイナーなんだろう。ライブもむっちゃむちゃ楽しい。何度でも行きたい。しかしP-Funkで時代の風潮やメッセージを読み取るのは無駄だと思う。とにかく大音量で楽しめば良い。そういうものだ。最も好きな黒人ユニットである。UNCUT FUNKIEEEEE BOMB!!

◆写真は彼らの素晴らしさがとても分かりやすいアルバムFunkentelechy Vs the Placebo Syndrome

今月のオトシャベリへ、●アーティストリスト


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